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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
2-2 運命の出会い
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からまた声が聞こえてくる。その声に我に帰ったジンと椿がそちらを振り向くと、かなり悲痛な叫び声がけたたましく耳に入り込んだ。その叫びの主は、一人の中年の女性だった。身なりから見ると、それほど裕福そうな家庭の出ではなさそうだ。
なだれ込むように上野公園から逃げてきている人達の流れに逆らって、公園のほうへ走り出そうとしたところを、すぐ近くの男性が引きとめている。
「おクマさん下がって!あそこには怪蒸気がいるんだぞ!」
「で、でもトラが!うちの息子がまだ!っつ…」
息子…どうやらその女性は自分の息子とはぐれてしまったのだ。しかも、その女性…おクマは突然地面に膝を着いてしまう。
「おい、『大神』!」
まだ近くにいた二人組みの男のうちの一人が、もう一人の男の名を叫んでいた。大神と呼ばれた先ほどの男性将校が女性の下に駆けつける。
「大丈夫ですか!?」
駆けつけてすぐ、大神は女性に容態を尋ねる。見ると、彼女は膝や肩に痛々しい傷が出来上がっていた。
「あ、あんた…軍人さんかい?」
おクマは顔を上げて大神の顔を見ると、必死のまなざしを向けて彼に懇願しだした。
「トラが…うちの息子がまだ公園にいるんだ!早く助けておくれ!」
「何!?」
大神は上野公園の方を向くと、公園のほうから煙が立ち上り始めていた。
「『加山』!この人を見ててくれ!」
「お、おおい待ってくれ大神!」
大神は半場無理やり同行していた友人におクマを託すと、上野公園の方角に向かって走り出していた。
一方でジンの心にも焦りが生じていた。もし上野公園に、さくらがいるとしたらまずい。避難させなければ。
「椿ちゃんはここにいて。僕が行ってくる」
「あ、ジンさん!」
彼も椿を駅に残し、自分も上野公園の方へ駆け出した。
怪蒸気出現から少し前の上野公園…。
絶好の花見日和だった。桜の花弁が美しく散り、上野公園を訪れた多くの人々を魅了する。
舞い散る桜を見るたび、人々は自身の幸せと平和を噛み締めていることだろう。
そんな中、一人の少女が公園の階段を駆け上がっていた。赤いリボンで結われた黒いポニーテールに、桜色の袴姿。
この少女こそが、新しい花組のメンバーとして選ばれた『真宮寺さくら』である。
彼女は上野公園の、帝都を見渡せる場所に来たところで、手荷物を置いて帝都の全貌を眺めながら呼吸を整えた。
「ここが、お父様が守った…帝都」
その壮大なスケールを誇る帝都の街に、彼女は感動を覚えた。さくらは袴の胸元から一枚の写真を取り出した。そこに映されていたのは、端正な男とさくらそっくりの美しい女性、そして男性に抱きかかえられている、幼い頃の彼女の姿だった。
「お父様、お母様。さくらは遂に来ましたよ。お父様の帝都に…」
写真をしまい、再び帝都の景色を眺めるさくら。こうして眺め
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