第40話
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陽からすぐさま逃げだした、権力にしがみ付く輩でも命は惜しいのだ。
連合の規模を知った張譲は、董卓軍の規模を生かさず殺さない程度に維持。
戦に応じられる程度の戦力に留めた。
「そして董卓軍は連合に敗北。民に愛された董卓様は脱出を図るも、偶然現れた賊の凶刃に倒れる。その事態に張譲様は涙を流すも、流され続ける血を止めるため彼女の亡骸と共に連合に降伏。
勇ある者として連合に遇され、有力な諸侯と交友を結び洛陽の実権を得る。
董卓様の死に民達は涙を流し。彼女を最後まで支え、自分達を救うために身を差し出した張譲様に忠誠を誓う。
万が一董卓軍が戦に勝ったとしても、洛陽にある十常侍の権力――最低限の目的は手に入る」
「……」
「どうです、完璧な計画でしょう? 儂が考えた訳ではありませんがね。ははは!」
賈駆が口を開く前に、男はそれを手で制した。
「儂は買収されませんぞ? どちら付いた方が有益かは一目瞭然ですからな!」
くっ、と賈駆は口を閉じる。話を途切れさせてはいけない、何かふらなければ――
「お願いが御座います。私の命は差し上げますので、どうか……どうか詠ちゃんだけは」
「月!?」
「……ご心配せずとも、賈駆様を傷つける気は一切御座いません」
『え』
男の言葉に、二人は同時に声を上げる。ほっとする董卓、訝しむ賈駆。
彼のそれは――慈悲の類では無かった。
「才覚に端正な顔つき、多くの方に需要があるでしょう」
「な!?」
「実は儂、奴隷業も商いとしておりましてな、むしろそちらが本業で御座います。はは」
男の視線が賈駆の身体を這うように注がれる。肢体を値踏みする目線に短い悲鳴を上げ、体を硬直させた。
ここまで薄汚い欲を浴びせられるのは、初めての経験である。
「……無駄話が過ぎましたな」
ここまでか――賈駆は袖に隠した白刃を強く握る。自分に華雄達のような武力があれば、これで大立ち回り出来たかもしれない。
無論、素振りすらした事が無い賈駆に、そのような芸当が出るはずも無く。
「ごめんね、月」
今にでも泣き出しそうな顔で謝罪する、親友は首を横に振り微笑んだ。
これから賈駆が何をしようとしているのか、彼女にはわかるのだ。
自害、それも親友を手に掛けた後で。
目の前の敵は外道だ、奴等の手に掛かる位なら自分の手で――楽にする。
怖い。
人を手に掛けた経験などある筈も無く、親友を苦しませるかもしれない。
怖い。
自分だけ死に切れず、捕らえられて地獄のような日々が続くかもしれない。
怖い。
誰か――誰か助けて。
「ではそろそろ――『どっこい脇がガラ空きじ
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