第40話
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短く返事をして玉座から降りる。
わかっていた。
敗色濃厚なこの戦に新兵達が沢山集ったときから。わかっていながら、董卓は目を背けかけていたのだ。
心優しい彼女は、皆が自分の為に命を賭している現実、その重責に耐えていた。だからこそ全てを終わらそうと、皆を助ける名目で連合に降ろうとしたのだ。
しかし、親友の言葉で思い出した。
自分の命を軽んじる事が、皆に対する最大の裏切りであることを――
「安心して、月はボクが死なせないわ!」
――今この時も、時間を稼ぎ続ける皆に誓って。
賈駆は友の手を引き、伝令に来た者を護衛として伴いその場を後にした。
「急ぐです! 先行させてくれた呂布殿達の為にも、董卓を確保するです!!」
華雄軍を突破した音々音と重騎隊七百の軍勢は、大した抵抗も無く洛陽内部に進行した。
門前に大勢の敵が配置されていたが、殆ど新兵で構成されていた彼等は、重騎隊の突進力の前に成す術もなく蹴散らされた。
「陳宮様! 前方に馬車が、大勢の護衛も伴っております!!」
「!?」
隊の言葉に反応し前方へ目を向けると、制止した馬車が確認できた。
此方の存在を察知したのか、馬車はゆっくりと動き出し――
「な!?」
徒歩で追従していた護衛達をその場に残し、重騎隊に向かって走り出した。
音々音は重騎隊を制止させ、馬車を避ける為に隊を道の端に寄せる。
悪寒がするのだ。大軍の壁を物ともしない重騎隊の力をもってすれば、馬車を正面から受け止める事も出来たかもしれない。
しかし、脱出しようとする董卓が敵に向かって来るだろうか。それも護衛を残して。
――何かあるです!
馬車を操る騎手の鬼気迫る表情。それも相まって接触を避けたが――
「へ?」
何も無かった。
馬車は悠々と重騎隊の中を通り抜け、音々音達が来た方向に走り続ける。
「に、逃がすなです! 今すぐ反転して――『オオオオオッッッ!』 !?」
後を追おうとした音々音だが、彼女の指示は重騎隊に攻撃を仕掛けた敵に阻まれる。
いつの間にか接近していた歩兵達は、重騎隊の足元に纏わり付くように動いている。馬車を避けるため停止していた為、重騎隊は反転することも苦しい。
そこで音々音は敵にしてやられた事に気がついた。
あの馬車に董卓は居たのだ、頼りになる軍師と一緒に。
重騎隊の詳細を聞いていた賈駆は、数に勝るとはいえ新兵達では相手にならないと考えた。
ならば――無視すればいい。
「ほ、本当にうまくいくなんて」
「知ってる? 獅子も自分から向かってくる獲物には手を出さないそうよ」
唖然としている友に、笑顔
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