第6章 流されて異界
第139話 失明
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僅かに自嘲の笑みを心の中にのみ浮かべながら、言葉では弓月さんに感謝を伝える俺。
まして、これから先にも彼女には頼る事になるのが確実。当初の予定では犬神使いを封印出来ればそれで終わり。其処から先に準備した策……アラハバキが召喚された後の為に準備して置いた策は、本来、使わずに済ませるはず……だったのですが。
「大丈夫ですか?」
そう問い掛けながら、俺の左腕……肘から先を失った左腕を目の前にある樹木の太い幹に触れさせてくれる弓月さん。これは、術の効果について話してあった訳ではない。おそらく、同種の術の例から彼女が想像して、再生したい個所をその再生させる素材に触れさせて置いた方が良いと判断してくれたのでしょう。
例えば土系統の術なら大地に。水なら水面に手を触れさせてから術を発動させるように。
当然、弓月さんの判断は正しい。更に、今の俺の腕はすべての感覚が麻痺した状態なので、実を言うと何かが触れて居ても良く分からない状態。普通の場合は目で確認出来るのでしょうが、目の方が受けた被害はどうやらもっと酷い物であったらしく、未だ回復する様子はない。
故に、何も言わずとも察してくれる彼女が傍に居てくれる事は非常に有り難い。有り難いのですが……。
「我、木行を以て――」
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