暁 〜小説投稿サイト〜
歌集「春雪花」
207

[8]前話 [2]次話



 寒き雲の

  去りて光の

   差しつつも

 君なく虚し

    春の里かな



 日を陰らせ冷たい雨を降らせた雲は消え去り、春の暖かな陽射しが注いでいる…。

 本来ならきっと…こんな陽気は清々しく、楽しく思えてくるに違いない…。

 だが…私は彼を想い、虚しさだけが心を支配するのだ…。

 この彼のいない山里で…自分の影を見つめる…。



 想いたる

  日々もかえらぬ

   春の日の

 過ぎゆくけふも

    君ぞ恋しき



 ずっと…彼だけを想い続け…求めても何も得られないと知りつつ…それでも恋い焦がれ…。

 そうした日々はもはや帰っては来ず、過去へと流されて…いずれは思い出となるもの…。

 麗らかな春の日に、そんなことをふと思った…。

 しかし…過ぎ行く今この時も彼が恋しく…ただただ、彼への想いはこの先までずっと続いて行くのだと…苦笑した…。




[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ