十五節:チヨメの実力・上
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前を明かし、向こうの少女・チヨメが首を傾げたのに合わせて要件を口にする。
「まずは―――御免なさい、実は気の影からさっきの戦闘、見ていたの」
「おぉぅ、マジか……」
「ええ。それで……気になる所が合って、聞きたい事があるんだけどいい?」
「別に良いぜ、何が聞きたいんだ?」
やっぱり女の子らしくない口調に多少戸惑いながらも、アスナは向こうの許可も出たのだし……と、本題に入る。
「見た所一人みたいだけど、パーティーはいないの?」
「居ねえよ……みんな、女だからとか言う理由で突っぱねやがった」
アスナの問いに、チヨメは少し目を伏せて不機嫌そうに言った。
彼女の答えに、アスナの方もまた眉根を潜める。
「! ……なにその理由。ゲームだから、そう言うの関係ないのに」
「だよなぁ? ……ったく、何が信用ならないだよ! オレより剣振るの下手糞な奴多いってのに!」
「ええ、見てたわあなたの腕前も。正直錬度が高くて驚いたし、此処まで上がってこれたのも頷けるわね」
「へへっ、そう言われると嬉しいぜ。サンキュ!」
年相応の元気な笑みに、アスナもまたつられて微笑を浮かべた。
「ねぇ、もうちょっと話したい事もあるし、良かったら一緒に行かない?」
「おう! 二人ならもっと効率良くなる筈だぜ!」
当然の事ながら騙そうとは思っていない物の、しかし初対面の人をこうも疑わない純真さに、アスナはちょっとばかし困惑してしまう。
と……チヨメは思いだした様に目を開くと腰へ手をやり、鈍く光る何かを取り出し掌へ載せる。
如何やらスローイングナイフの様で、恐らく『アニールブレード』の彼が投げた物だろう。
先程木の幹で、チヨメが何やら手を動かしていたのは、如何もこれを抜き取る為らしかった。
「そういや、さっきのアイツ、コレ忘れてったんだよな……貰っちまおうにもオレ、投剣スキルもってねえし……」
「何時かであった時の為にとっておいたら? その時返せばいいと思うわよ」
「そうだな」
チヨメは右の人差し指と中指を揃えて振りメニューを呼び出して、アイテムストレージを選択すると件のスローイングダガーをしまう。
一先ず『アニールブレード』の彼の事は頭の隅へ押しやっておき、アスナは話を続けつつチヨメと共に森の奥へ足を踏み入れて行った。
「ん〜……ヒヒハハハ、中々の腕前だったわなぁ……アスナの嬢ちゃんも居るし、オレちゃんはトンズラするかいね」
彼女達の居る位置からは、少々遠くの木々の間。
そこから、とある刺青半裸の部族が青いパイプを咥えつつ、二人の様子をニヤニヤしながら覗いてはいたが――――其れはまた、別の話
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