十五節:チヨメの実力・上
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「おりゃあっ!!」
「……へっ?」
「……え?」
―――背後から『女の子』のモノであろう、第三者の声を聞かなかったならば。
「悪い! 御節介だろうけど助太刀すっから、援護頼むぜ!」
「え……あ、はい!」
女の子とは思えない声量と口調に戸惑った様で、『アニールブレード』の彼は反射的に返事をしている。
アスナもまた、自分以外の女性プレイヤーが前線に居る事で少なからず驚き、再び樹木の影から覗きこんでいた。
メインウェポンはレイピアやダガーではなく、尖端が双又な事を除けば刀に近い片手曲剣。
ゲームなのだからどんな武器を持とうが勝手なのだし其処についてアスナは何も思わなかったが、前線で出会ったプレイヤー達も手にしていなかったレア武器な為に、少しばかりの違和感を覚える。
見慣れぬ武器を手にしている事からベータテスターだと仮定しても、そうだというなら前線に来るのが遅すぎる。
なら偶然レアモノを手に入れた初心者だとしても、防具は其処までランクが高くない上に、ソロだという事を含めれば逆に早すぎる。
己という前例こそあるものの、グザが助けてくれなければどの道倒れていた事もあり、尚更アスナの中に不思議が生まれ続けた。
(あの子……まさかパーティーと逸れたのかしら?)
彼女が目の前のプレイヤー達に対して思考する間にも【ウィンド ワスプ】は軽く勢いを付けて、少女と『アニールブレード』の彼へ滑べる様に突撃してきた。
慌てて如何にかこうにか盾を掲げる彼とは対照的に、少女は顔こそ険しいが落ち着いた物腰で曲剣を構えている。
通常ならここで盾を使いキッチリ弾くか、アスナもやった様に身を翻して避けるのが基本。
が……黒髪の少女は片手で正眼に構えたままピクリとも動かない。
まさか土壇場でおびえたのか―――いや、違う。
「よっ……!」
左足を大きく外側へずらす。
身体を反らして、両手で支えた曲剣を使い針を押しのける様にして回避する。
「……っとお!!」
「“!!”」
更にワスプを追いかけるかのように体勢を変え、そのまま薙いで背後攻撃+カウンター攻撃を適用させる。
追加でクリティカルヒットのエフェクトが迸り、直後にワスプは爆散。
HPが少なかった事もあり、実にアッサリとワスプをポリゴンへ還してみせたのだ。
彼女の剣線は素人目に見ても不格好な物ではなく、ちゃんと鍛えてある綺麗な物であり、先のも“運が良かっただけ”と仮定するには首を傾げる程。
しかも振り切った得物をすぐ引き戻しており、相手の反撃も考慮していた事が窺える。
周りにすら鋭い視線を向け―――Modも何も居ない事
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