十五節:チヨメの実力・上
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の階層から本格的にチームを組むらしい、キバオウや“何故見殺しにしたのか”と叫んだ『リンド』というらしいプレイヤーにとっては、『軽装ながらソロで此処までやってこれた』という事実だけでも、喉から手が出る―――とまでは行かずとも無視できぬぐらいには欲しい人材に間違いない。
「それじゃあ……行くかねぇ」
グザは顎に手を当て暫し、脚を追う方へ進めるか別の方へ進めるか悩み…………やがて、ゆっくりと歩を進め始めた。
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標高の低く規模の小さいテーブルマウンテンの群……そのふもとに広がる森の中で、腰に細剣を吊り赤いフードを被る一人のプレイヤーが、目的があるのか迷い無く着々と歩みを進めている。
「“……ヴヴヴゥッ……”」
「“カチ、カチ……”」
そんなプレイヤーの背後から、二匹の蜂型モンスター・【Wind Wasp】が顎を打ち鳴らしつつ僅かな羽音と共に接近し、細剣使いの注意が向かない上空から彼、もしくは彼女を見降ろす。
もう一度顎をカチ鳴すと、いっそ不気味なまでに行動を起こさなくなる。
二対の翅を器用に動かして、地上20数m余りの位置でホバリング―――
「“―――――ッ!!”」
―――刹那軋む様な声を上げ、猛烈な速度を叩きだした二匹の【ウィンド ワスプ】が、臀部の針をフードの細剣使いへ向けて降下し始めた。
激突まで残り5m、4m、3mと近付いても細剣使いは全く反応せず、鋭利な毒針がその華奢な背中に肉薄する。
命を奪わんとするその凶器は、静かな殺意を持って僅かにフードケープを揺らす。
「はっ!」
「“――――!”」
されどフードを揺らした、ただそれのみ。
細剣使いの身体が躍動し、一匹目の攻撃は肉体を貫けない。
後に続く2体目もすぐさま視界の真ん中に据え、滑空攻撃を持ち前のスピードできっちり避ける。
そして抜刀されたレイピア『ウィンドフルーレ』の切っ先が捉えた―――瞬間、刀身が閃き細剣スキル基本技【リニアー】が純白の光芒すら遅れる速度で叩き込まれた。
加速した剣尖により反撃が封じ込まれた【ウィンド ワスプ】は、細剣使いの一撃で縫い止められたが如く制止させられていた。
だがそれも一瞬の事。
すぐにソードスキルによる影響が及ぼされて、クリティカル判定のエフェクトを残しながら【ウィンド ワスプ】は吹き飛び、コミカルな動作で草地に落ちる。
「はっ……せぇっ!」
隙だらけの2体目には目も暮れず、次に狙いを定めるは斜め後方に通り過ぎていた1体目。
またも針攻撃を避けて手首を捻り構え、
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