十五節:チヨメの実力・上
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じゃ、また縁があったら会おうぜ! そん時はアンタを助けられるぐらい強くなってるからよ、グザ!」
「ヒハハ……そりゃあ楽しみやね、待っとるわな」
「むぅ、信用してねぇな……見てろよ? 絶対駆け上がってやるからな!」
大事に思う人の為と己が生き残り、攻略集団の仲間入りをするべくレベルを上げるチヨメだ。
確かに今言った目的も、その道を進めば自然と達成に近付くモノだろう。
……明らかにゲームプレイヤーの体術レベルではないグザに、追いつくこと自体が可能なのかどうかはさて置き。
勿論、当の本人がそんな事など知る筈も無く―――チヨメはじゃあな! と指をそろえ額に添えて一度振り、元気の塊と言わんばかりの猛烈な勢いでフィールド方面まで走って行って、すぐに見えなくなってしまった。
「ヒハハ……追い付く、か。いいねぇ……若い奴の真っ直ぐさってのは、時々羨ましくなっちまうやな」
何処か懐かしむ様な声色で、グザがそう呟く。
見た目からして顔に皺も無く輪郭もまだ鋭く、声だって青年調で少しも掠れてはおらず、己だってまだまだ若いと言うのに、グザは実に年寄り染みた奇妙な言葉。
容姿の分より年を重ねているのだとしても、彼が口にするにはまだ聊か早すぎるんじゃなかろうか? と思わざるを得ない。
もし誰か聞いているプレイヤーがいたとすれば、間違いなく首を傾げたか、ロールプレイし過ぎだと呆れるか、身体は若くとも精神的には老いているのかと思うのが関の山。
グザも恐らく、色々と普通は経験しない事を見続けてきて、同年代よりも古臭さを醸し出しているだけであろう。
「…………」
困惑とも、苦笑とも取れる微妙な表情でチヨメが去った方向を見つめているグザは、先にチヨメが語った『上を目指す理由』を反芻していた。
彼女の “祖父と祖母に早く安心を与えてあげたい” と言う理由はグザも共感できるものであったし、ただ単純に今まで知りあったのプレイヤー達よりも少しだけだが踏み込んで会話した仲だ。
だからこそ彼の中には、このクソッたれなゲームなんかで 【死なせたくない】 という気持ちもある。
……隠さずに言えばグザは単なる良心だけでなく、実力を見てみたいという純粋な好奇心も理由の半分程を占めているが。
そんな個人事情は兎も角として、一時手を貸して彼女の実力を証明する事さえできれば、攻略組という一応の庇護下に入れるようには出来るかもしれない。
二桁に到達しかけのレベルに、それでも前線でやっていけるスキル……それらを理解出来たのなら、一人でも多く闘えるプレイヤーを欲している攻略組に関しては、少なくとも『アスナ』という前例があるので流石に “女だから” と突っぱねる事は無いだろう。
こ
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