十五節:チヨメの実力・上
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チヨメの主張から、数十分後。
結局二枚では足りず、もう少し追加注文してから、『ウィムズ・ステーキ』をだす西部劇風レストランから出た二人は―――取りあえず路地を通って大通り近くまで戻り、取りあえずと今後について話し合い始めた。
「で、だ……オレちゃんは取りあえず街ブラついてから戻るが、チヨメの嬢ちゃんはどうすんだい?」
「もち、オレだって前線に行くぜ! 今すぐに、もっとレベル上げねぇとな!」
コレでパーティーにでも入っていたなら、幾分か心や行動の余裕が持てるのだろうが……そう易々と組めているのなら、このような事態を招いてはいないだろう。
が、それでも気になる事があるらしく、グザはチヨメに一つ二つほど聞いてみる事にし、身長差がだいぶある彼女へ合わせるべく少し前屈みになった。
「お前さん、そう言えばレベルがどうだのパーティーがと言っていたが……プレイヤースキルはどうだい?」
「プレイヤースキルって、自分が元々持ってたりする体捌きみたいなもんだよな?」
「そうそうそれそれ。もしかしてソレの影響でパーティーを組まない、って言っとるかも知れんわな?」
つまり、チヨメが女だから云々以前の問題―――曲刀の振り方や戦法に問題があるのではないか? との可能性を挙げる。
そんなグザの問いに対し、チヨメは少しムッとした顔になった。
「さっきも言ってたけど、コレでもオレはジッちゃんから剣術習ってたんだぜ? なんも無い、一から始めた奴よりゃマシだっての」
「へぇ……一人で勝ち抜いて来れたのもそれかいや?」
「まあな!」
堂々胸を張って答えるチヨメに、グザは少々微笑ましい物を覚えたか苦笑する。
だが単純な強さで進めるならレベル数値が、賢く立ち回るのならば情報が、個人で細かく突き詰めるならプレイヤースキルが重要となる。
ソロで有る無しに関わらず攻略組に残り続けるならば、三つの内何れかは必須と言えるだろう。
そして現にソロとして活動している事から、そのうちの一つ……グザと錬度こそ違えど、それでも十二分に役立つ【プレイヤースキル】をチヨメは持ち得、最初からある程度有利な位置にいたのだ。
それも、ソロとして勝ち抜いて行ける程の力を。
チームが組めないその代わりに、不格好に振らずに済むよう剣の基礎を知っている―――『天は二物を与えず』とよく言ったものである。
……その代わりに情報は配られているパンフレットと変わらず、初見では武器防具以外のMMOのセオリーも知ら無い様に見えた。
奇しくもその点ですら、グザと似通っていると言えよう。
納得した様子のグザにチヨメは満足そうに頷くと、拳を突き出して歯を見せ笑った。
「
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