MR編
百四十一話 母の祈り、母の言葉
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っていることに気が付いた。結婚などと言う人生の一大決心を手段として出したこともそうだが、そもそもユウキに好きな人がいるとして、それはほぼ確実にスリーピングナイツの誰かだ。しかし彼らは全員重病疾患患者なのだから状況は余計に複雑になるし、そもそもユウキや相手の気持ちや事情も結婚にはかなり関係してくるのだ。
しかしそんな明日奈の頭の回転をよそに、ユウキは急に大声で笑い始めた。
「あははははは!!アスナ、すっごい事考えるねぇ、それは思いつかなかったなぁ……おばさんは遺言状かけ〜なんて僕に行ってたけど、遺言じゃなくて婚姻届けなら、うん!ボクも頑張って書こうって気になれるかも!!──でも残念だけど、肝心の相手がいないかなぁ」
笑いながらもそんな事を言うユウキに、明日奈は苦笑して返す。
「そう?ジュンとか、いい雰囲気だったじゃない?」
「えー、ダメダメあんなお子様じゃ……うーん、そうだねぇ……あ!なら、リョウさんとか良いかも!強いし、カッコいいし、頼りになりそうだし!!」
「ぅえっ!!?り、リョウ!?」
「○×▼□!!!?!?」
明日奈がいきなり大声をあげ、同時に美幸が意味不明な悲鳴じみた声を上げた。
いやまぁ、確かに彼は頼り甲斐があるというか何だかんだいろいろなところで助けてくれる男なのは確かだし、ユウキのこともすでに一度助けている上に彼ならこの家をしっかりと守り通してくれるだろうが、いやしかし彼は色々とガサツなところがあるしそもそも恋愛を「は?しらん」の一言で流しそうな朴念仁で、その所為でサチの気持ちにも、というかそうだそもそも彼はサチの思い人で……そんな明日奈の動転を、ユウキの愉快そうな声が再び遮った。
『あはは!ごめん、冗談だよ。だってリョウさん、サチの大切な人でしょ?』
「うぇ!?あ、ぅ、うん……」
自分に振られたサチが、手をモジモジと指せながら戸惑ったような照れたような声で小声を返す。その様子を面白がっているのか、あるいは可愛らしく感じているのか、ユウキはさらに続けた。
『ボク、まだ普通の恋愛もしたことないから、さすがに略奪愛っていうのはちょっとな〜』
「り、略奪……!?」
「ゆ、ユウキ、そういう言葉どこで知ったの?」
『え?ねーちゃんが言ってたんだよ、略奪愛っていうのも愛なのかなって』
「ゆ、ユウキのお姉さんって……」
「もう、ラン……」
若干頬を染めながら、二人の女子高生がうつむきため息をつく。そんな二人の様子に楽しそうに笑って、ユウキはもう一度家の全景を見渡すようにカメラを動かしながら言った
『昔ね、ボクや姉ちゃんが薬を飲むのがつらかったり、苦かったりして泣くと、ママがいつもイエス様の話をしてくれたんだ。イエス様は、ボクたちに耐えることのできない苦しみはお与えにならないって。日曜日なんかにもお祈
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