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八神家の養父切嗣
三十七話:襲撃開始
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き手を上げる。一瞬手を挙げて降参するのかと思うフォワード陣だったがその手にはリモコンが握られていた。慌てて爆発に備えて今度はバリアを張ろうとする四人。だが、何故かバリアは作り出されることはなかった。

「これ……もしかしてAMF!?」
「ご名答。今のリモコンはしかけておいたAMFを張るためのものだよ。これを出した瞬間に撃ち抜いておけば止められたかもしれないが、とにかくこれで半径100メートル以内で君達は魔法を使えなくなった。」
「でも、それはそっちも同じことじゃ?」

 先程の地雷は敵にこちらが地雷を使うと思わせるためのブラフの役割もある。その為に相手は反射的に攻撃ではなく防御を取ってしまったのだ。しかし、AMFを張ったということは相手も魔法を使えないということに他ならないとスバルが声を出す。

 実際問題、男が顔を隠しているのは変身魔法が使えなくなるからであろう。だが、そのようなことは何の障害にもならない。どこまでも自然な仕草で男は懐から黒光りするキャリコを取り出す。それを見た瞬間にスバルは理解する。相手ははなから魔法を捨てた状態で戦うことを前提とし、質量兵器を揃えていたのだと。

「生憎、質量兵器の扱いには慣れていてね。さらに言えば今の君達は猟師の前のうさぎ同然だ。四人居たところで大した脅威じゃない」

 補助タイプのキャロは論外。ティアナも魔法が使えなければ近接用のダガーを出せない。エリオが直接デバイスで攻撃できるが魔法が無ければただの子ども。頼みの綱はスバルであろうが彼女が戦闘機人にならなければその力は使えない。武器のない人間は武器のある人間には勝てない。それが人類史での絶対の理だ。

 舞台は整った、後は機械的に処理を行うだけである。そんな自分が嫌なのか、男は布の隙間から覗く死んだような瞳に憂いをおびさせてキャリコを構える。そして照準を四人に合わせたところでどこまでも無機質で冷たい声で言い放つ。


「悪いが、君達が足を踏み入れた瞬間からここは僕の―――狩場だ」


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