暁 〜小説投稿サイト〜
八神家の養父切嗣
三十七話:襲撃開始
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
であるロータリングホールに向かっていた。

「後どれぐらいで到着ですか?」
「もうすぐで到着するはずよ」

 全員があと少しで目的地だということで気を緩めていた。もちろん、本人たちに聞けばそんなことはないと言い張れるレベルでの僅かなものだ。しかし、僅かでも注意力が落ちれば気づけないものもある。例えば、敵を切り抜けた先に周到な罠が仕掛けられていることなど。

「隊長達が待っているかもしれないので急ぎましょ―――」

 ―――炸裂音。

 キャロの言葉は激しい炸裂音によってさえぎられる。クレイモア地雷、鼓膜を破るような鋭い音の訪れの後に爆発によって打ち出された無数の鉄球が襲い掛かる。何が起きたのかもわからぬままに四人は足を止め防御の体勢を取る。

 幸いにもバリアジャケットの防護のおかげで傷を負うことはなかったが不意を突かれた動揺は残る。中々動き出すことが出来ずにどこかにいる敵の姿を探して辺りを見渡す四人の目の前に一人の男が姿を現す。

「どうやらここで張っていたかいがあったようだ」
「あ、あなたは!」
「理想を捨てる覚悟はできたかい? スバル・ナカジマ」

 見覚えのある、否、忘れたくても忘れられないトラウマを植え付けられた男の登場にスバルは声を裏返してしまう。顔は黒い布のようなもので隠されておりスバルからは瞳しか見えないがその死んだ瞳と黒いコートがあればあの男だと断定できた。僅かに震え始めるスバルの様子を心配して残る三人が庇うように前に出て男を睨み付ける。その仲間想いの様子に男は皮肉気に笑う。

「いい覚悟だ。愛する者を守るために自らが盾となる。何度も見てきた素晴らしい光景だ。
 そして―――何度もその後ろの人間を殺してきた」

 瞬間にスバルの後方で再びクレイモア地雷が炸裂する。リモコン操作での地雷の発動は自らが見つかる恐れもあるが誤爆の心配はない。明確に狙った対象を傷つけることが出来る。もっとも、元々敵を殺すほどの威力は持たない地雷では硬いバリアジャケットを貫いてもかすり傷程度の効果なのだが。しかし、完全に死角からの攻撃は相手の恐怖心と動揺を煽るには十分すぎる効果を持つ。隠された顔の隙間から覗く死んだ瞳が冷徹に四人を見つめ圧力をかける。

「悪いが君達はここで足止めさせてもらう。安心してくれ、殺しはしない。クレイモア地雷(・・・・・・・)も今ので最後だ」
「悪いですがこちらも止まる気はありません。それに四対一で、ここは地下。両方が生き埋めになりかねない高火力の攻撃をできない以上は数の多いこちらの有利は揺るぎません。大人しく投降してください」

 足止めをすると語る男にいくらか冷静さを取り戻したティアナが毅然とした態度で告げる。それを聞いた男はまるで出来の良い生徒を見る教師の黒い布のしたで笑って頷
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ