レポート001 雨切 海斗
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
鑑定の結果ではこの右腕はかつて"日本の英雄"と呼ばれた
雨切 玄時さんのものであることが判明いたしました。」
俺はそこで初めて父さんの顔を知った。
父さんは俺が生まれる直前に軍に戻ってしまってそれきりだった。
父さんが死んだ。
単純で現実味のない言葉は辺りの空気を一変させた。
その言葉を聞いて衝撃を受けたのは、母さんのほうだった。
だがそれも当然と言えば当然だった。
途端に母さんはその場で気を失い、糸が切れた人形のように崩れるように倒れた。
それからは精神が不安定な母さんの介護をひたすらするだけだった。
脱け殻のようになった母さんに話し掛けようと努力したためか、
1年以上経過したある日、
母さんが久しぶりに俺に話をしてくれた。
「あなたに教えていない秘密があるの。
父さんの部屋に置かれたままになっている本棚があるの。
その本棚の中央にある赤い本を押してみなさい。」
俺は少し驚いて母さんにまた声を掛けたが完全に耳に入っていないようだ。
仕方ないので俺は例の本棚の中央にある赤い本を押してみた。
すると父さんの部屋の床が稼働し、隠し通路が現れた。
恐る恐るなかに入ると、そこにはありとあらゆる戦術の知識や戦闘の技術などが
書いてある書物が何百冊と保管されていた。
それと同じように大量の保存食も保管されていた。
今となっては食料は配給のため家族の一食を補うので限界である。
いざとなればここに逃げ込むことができる。
その安心感はすごいものだった。
それからさらに時が進み俺は16歳になった。
この日は母さんのお葬式だった。
もともと病弱だった母さんは父さんが亡くなったことで精神的ショックを受け、
病状が悪化したのだそうだ。
そうして、こうも簡単に俺は1人になってしまった。
俺は1つの覚悟を決めた。
連合軍に入って必ず父さんの敵をうってくると。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ