第一話 クーデターの兆し
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2015年春
群馬県時定市
赤城山の麓、そこにあるのは昨年に伊勢崎市から改名した時定市と言う町がある。
因みにこのような改名は珍しくなく、東京では西東京市が第三新東京市に改名されるなど改名は多々ある。
話をもとに戻して、時定市には日本三景にも匹敵すると言われる山がある。赤城山から西にある小高い山、時定山である。
時定市制定に伴い隣県の栃木県から記念として贈呈されたものだ。そしてこの山を巻き付くようにして建設されたのが時定峠である。
だが、元々は栃木県が管理していたものに少し手を加えたに過ぎず、老朽化が否めなかった。その為に昨年の春に建設が始まり、先月開通したのが時定バイパスである。
そんな時定峠を一台のパトカーが、サイレンを鳴らしながら栃木方面へと走っていた。
「時定2から群馬本部。当該車両未だに発見できず、捜索を継続する」
『群馬本部、了解』
「時定2了解」
通信を終えると巡査は無線を所定の位置に戻し、捜索を再開した。運転席の巡査長も時折辺りを見回し車両を探していた。
「しかし、なんで逃げたんですかね?ただの事故なら別に逃げても意味ないんですけどね・・・」
「ただの事故じゃないから逃げたんだろう。お前聞いてないのか?」
巡査長の言葉に巡査はキョトンとした顔で首をかしげる。その様子に巡査長ははぁー、とため息をつくと説明し始めた。
「例の事故、フロントガラスに弾痕が霰のようにあったそうだ。まるで狙い撃ちしたかのようにな」
「まじですか・・・」
「お前も気を付けろよ、いつ狙い撃ちされるか分からないんだからよぉ」
「はい・・・」
真っ青な顔をしたまま巡査は再び前を向いた。すると前方に路肩に停まる一台のトラックがいた。一応、確認のため横を通過するとそこには聞いたこともない引っ越し業者の名前が明記してある。
「何ですかね、あれ?」
「一応職質かけるぞ」
「了解」
パトカーは反転すると再びトラックの方へと走り出した。それが最悪の選択肢であるとも知らずに。
「・・・?何か持ってますよ」
「本当だな、ん?・・・」
巡査長は持っているものを凝視した。そして慌ててハンドルを切ろうとした。相手が手に持っていたのは銃だったからである。
「うぉぉぉぉぉ!!」
間に合うはずなかった。相手はパトカーのフロントガラス一杯に弾丸を放つとパトカーはそのまま土手に突っ込み爆発、炎上した。
銃を持っていた男たちはそれを確認するとそそくさとトラックに乗り込みその場から猛スピードで立ち去った。
・ ・ ・
二時間後
特車二課分署
隊長室
『・・・ということです。では、次のニュース。今朝早く、時定山にある時定峠で連続車両銃撃事件がありました。群馬県警によりますと・・・』
「ふぁぁぁぁぁ・・・」
隊長室で呑気にあくびをする
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