14部分:第十四章
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第十四章
「すげえ」
「子供達にちゃんと送るなんて」
ここでまた驚くライゾウとタロであった。
「やっぱりな。あの先生達ってな」
「人間できてるよね」
「いいなあ、あの優しさ」
小田切君はとりわけ今田先生を見て言うのだった。
「ああした心配りができるところがまたいいんだよなあ」
「ふむ。これでマスコット達は消えたのう」
だが博士はそんなことは全く意に介してはいなかった。まるで石ころが消えてしまったかのように沈着な様子で語るだけであった。
「あの大きさのはのう」
「世界中の子供達が笑顔でケーキを食べていますよ」
「そうじゃな」
モニターに映る巨大なケーキを満面の笑顔で食べる子供達を見ても無機質なものであった。
「美味そうじゃな」
「ってそれだけですか」
「それだけじゃ」
またしても無機質な言葉であった。
「さて、それではじゃ」
「子供達が笑顔でケーキを食べているのに」
「わしにとっては暴力団員が八つ裂きにされる方が余程いい光景じゃ」
しかも自分の開発した兵器や実験によって、である。博士にとってはそちらの方が遥かに美しく素晴らしい光景なのである。流石である。
そしてその博士は。何でもないというふうにまた言うのであった。
「まあ次はじゃ」
「今度はどうするんですか?」
「切り札を出す」
素っ気無く述べるのだった。
「切り札をのう」
「切り札って何ですか?」
「だからあれじゃ」
ここであれだと言うのである。
「あれを出すのじゃよ」
「あれってひょっとして」
話しているうちに思い出してきた小田切君であった。記憶は頭の中で無意識の底からさながら泡の様に浮かんで出て来るものなのである。
「巨大マスコットですか」
「今こそ出番じゃな」
博士はまた言った。
「いよいよのう」
「本当に出すんですね、それを」
「出さずして何とする」
「出さずして、ですか」
「開発、製造したからには出すものじゃ」
博士の持論である。それが迷惑かどうなのかはまた別の次元の問題である。
「だから出すのじゃよ」
「はあ。そうですか」
「よし、発進じゃ」
思い立ったらすぐに出すのもまた博士であった。
「そして古都に向けて進撃じゃ。いでよ!」
「ナラーーーーーーーーーーーーーッ!!」
不気味な叫び声が轟いてきた。
それと共に古都の前にこれまでとは比較にならないまでに巨大なマスコットが出て来た。その大きさは最早高層ビルに匹敵するものであった。
「全長何メートルですか?あれって」
「五十メートルじゃ」
博士はすぐに小田切君の問いに答えた。
「光の戦士とも戦えるようにと思ってあの大きさにした」
「そうですか。五十メートルですか」
「手頃な大きさじゃろう?」
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