42.La La Bye…
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手く行かへんもんや。かといって……」
机の上にある小さな文鎮を持ち上げたロキは、天秤の反対の皿にそれを置いた。今度は右に皿が偏るが、ロキはインクの乗った皿にペンなどの適当な小物を乗せて、おおよそ釣り合ったバランスに整えた。
「黒く染まりきってもそれはそれでアカン。中庸なバランスを維持しようとするんが大人や」
「『秩序は正義と悪の狭間で成立するもの』……ですか」
「どこで覚えたんや、そんな言葉?」
「アズさんが言ってました。オーネストさんが悪人なのに捕まっていないのもそう言う事だ、って」
「んー、アズにゃんもやっぱりそういう所は大人やな〜……それでこそわが相方に相応しい!なんつってな」
普段は漫才のようなことばかりしていても、やはりロキとアズは精神的に対等なのだろう。
アズライール・チェンバレット――昨日まで怖かったあの男は、レフィーヤにとって近く、なのにどこか遠い存在になってしまった。自分はアズのような達観した存在になれるまで、うんと時間がかかりそうだ。
アルガードの復讐の理由を、レフィーヤは最後まで肯定も否定もしきれなかった。
でも、アズはその性質がどんなふうに変化しても全てを受け入れていた。そして受け入れたうえで、彼を止めたのだ。レフィーヤは結局、もしもアルガードが自分自身だったらという仮定から抜け出せなかった。
「もしアルガードさんが私で、ピオさんがアイズさんだったら……それで私が本気で復讐を始めたら………」
「そんな仮定に意味なんかないやろ」
続く言葉は、ロキが遮った。
「どんなに考えても、結局現実はなるようにしかならへん。せやから怖い。やけど、最悪な未来が訪れんようにウチも子供たちも動いとるんや。やから……家族を信頼せぇ、な?レフィーヤ?」
「………はいっ!」
これからどんな現実が訪れようとも、どんな不安に押し潰されそうになろうとも、レフィーヤの周りには頼れる家族が沢山いる。ロキ、フィン、リヴェリア、アイズ……双牙刀をボロボロにして説教されてるティオナだってそうだ。
(それはきっと、オーネストさんだって同じですよね……?)
長身の告死天使と並んで歩く金髪の男の背を思い出しながら、レフィーヤの小さな冒険は幕を閉じた。
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