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俺達は何を求めて迷宮へ赴くのか
42.La La Bye…
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はどうしてかとても残酷なものに思えました。



 = =



「………以上です。勝手なことをして帰ってくるのが遅れて、すいませんでした」
「さよか……まー誰かに迷惑かけた訳でもなし。危ない目にも()うとらんようやし、ええんちゃうか?」

 ロキはレフィーヤの1日の冒険を聞いた上で、そう結論づけた。

「……まーリヴェリア辺りはウンとは言わへんかもしれんけど、オーネストとアズにゃんが一緒やったんなら問題あらへんやろ。それこそいい『社会見学』やったっちゅうこっちゃな」
「………全然役に立ちませんでした」
「あの二人が役立ちすぎるだけやて。特にオーネストなんかこの街の中やと1,2を争うくらいキレ者や。一番手っ取り早い方法を取りすぎるからそうは見えへんかもしれんけど、伊達に一匹狼気取ってるんちゃうって」

 からからと笑うロキに、レフィーヤは控えめに頷く。確かにあの人は始終真実に辿り着く為の最短ルートを通っていたように思う。むしろレフィーヤ達がいない方が早く真相に辿り着いたのではとさえ思える程だ。
 結局レフィーヤ達がギルドに戻った時には、オーネスト(ブラスの事はロキには敢えて言わなかった。嘘はついていないのでバレなかったようだ)は既に一通りの報告書をまとめてルスケに押し付け、帰路に就いていた。ウィリスの元を訪ねて真実を知った後、更にアルガードを止めに向かっていた間に、あの人は事態がアズによって終息に向かうことまで見越して行動していたのだ。
 「信頼されてると考えるべきか、薄情者と思うべきか……」などとボヤきながらもロイマンの元へ向かうアズは、苦労人の背中をしていた。あの人にも色々と相棒に思う所があるのだろう。

「ほんで?今日の小さな冒険で、レフィーヤは何を学んだんや?」
「世の中の汚さと悪の存在意義です」
「言葉だけ聞くとめちゃめちゃ荒んどるな……」

 冷や汗を流すロキだが、事実は事実。レフィーヤはこの日、嘘の重要性や人々の無関心から来る倫理との乖離、正当性のない小さな悪が世に及ぼす影響、善意の優先順位など、おおよそ子供が感心を向けるには早い事ばかりを目撃することになった。

「まぁ、アレや。大人に一歩近づいたか?」
「……私、あれが大人になるって事ならずっと子供のままでいいって……ちょっと思いました」
「せやろな。世の中は色んな汚い部分や汚れた部分を抱えとる。人も神も善も悪も、色んなモンが重なり合って引っ張り合う事で今の世の中が形を保っとる訳や。その中で世渡りしてくんには……」

 ロキの部屋に置いてあったインテリアの天秤の皿に、インクの小瓶が乗る。真っ黒なインクを乗せた天秤はカタンと左に傾いた。

「……ま、清廉潔白ではいられんわな。汚れきらんとアストレアみたいな事になって、結局は上
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