42.La La Bye…
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を誤らせてしまったのだと深く反省するウルカグアリ様。彼女に事件の責任は及びませんでしたが、彼女は責任に匹敵する罪を背負ってこれから幼児のようになってしまったアルガードの面倒を見続けるのでしょう。
なお、彼に仕えていたというモルドという青年が彼女のファミリアに入ってアルガードの世話をしたいと頼み込んでいるのを見かけました。結果は分かりませんが、並々ならぬ熱意だったのできっと余程アルガードを想っている人物だったのでしょう。
そして、肝心のアルガードを唆した共犯『ウィリス』――アルガードの親友にしてピオさんの事件に関わったもう一人の重要人物。私、レフィーヤちゃん、アズさんは彼の残酷な事実を知ることになりました。今でも信じられなく思う自分が心の中にいます。
親友にそそのかされ、憎しみの心を利用されて殺人事件を冒し、挙句自分の魂を削りすぎて自分が何者だったのかも分からなくなってしまったアルガード。彼の罪は決して軽い物ではありません。7人も殺せば指名手配されても文句は言えませんし、殺しは当然ながらこの街でもどの国でもタブー。例え復讐や親友の為であったとしても、この事実だけは曲げることが出来ません。
でも――それでも。
私は、アルガードを憎んだり恨む気持ちはちっとも湧いてきませんでした。
彼はきっととても純粋で、すこしだけ行動が遅いだけの、友達想いの男だった。そしてその想いが強すぎたが故に、こんな結末を迎えてしまったのでしょう。彼にとっては嬉しくないと思いますが、私は強い憐みを彼に感じました。
明日、まだ集まっていない全ての情報を出し合ってもう一度事件のあらましを整理することになっています。とても目が冴えてしまい寝付けない私も、当事者としてそれに参加することになっています。明日の話し合いが終わればこの殺人事件からも解放され、晴れて元の業務へ戻れる……なのに、嬉しいと全く思えないのはどうしてなのでしょうか。
事件経過を最後にヨハン先輩に報告した時、ルスケ先輩も全く嬉しそうな顔はしていませんでした。むしろ煮え切らない、納得しがたいといった表情だったように思えます。小説のようにサスペンスがスッキリ解決なんてのは所詮創作でしかなく、私達はこうして小さな妥協を受け入れながら前へ進むしかないのでしょう。
この街は、明日からもアルガードの悲しい末路など気にも留めず、いつも通りに時を刻むのでしょう。誰もが彼に無関心で、自分にはさして関係のない存在だと考えている。こんなにも近くにあるのに、見向きもされずにアルガードの事件は埃に覆われていくのでしょうか。
いつか彼の事件の痕跡も全て修復され、鎧も回収され、最後にはギルドの書類棚に仕舞われた数枚の紙媒体にまで圧縮されて人々の記憶から消滅してしまう……そんな世の中が、私に
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