42.La La Bye…
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する記憶の中に残る真実を必死で手繰り寄せ、今にも消えそうな筋書を口に出して確認する。そうでもしなければ次の瞬間にもこの鎧に定着された魂から『自分』が消えてしまう。消える前に――あと一つだけ――それだけを願って腕を前に出そうともがいて。あの日の夜のように、その日の朝のように、連なってきた挫折の記憶をなぞるように。
「計画で全員を殺し、共犯者となったかつての友達ウィリスも殺し、そして自分も死ぬ。それで全てを贖ったことになると、考えたんだろう?」
ひたり、と。
とても冷たく感じる誰かの手が、僕の頬をなぜる。
何とはなしに――僕は悟った。
地獄への迎えが来た。僕は結局、間に合わないまま終わったのだと。
奥にいる女たちが驚いている。余計な女も増えている。
しかし、そんなことはもうどうでもいい。
僕には分かる。黒い髪、黒いコート、そしてその背からこちらを見下ろす熱を感じない鎖の魔人。この男は、僕に終焉を告げる死神だ。
死――生命の持つ絶対不可避の運命。それはどんな形であっても、必ず「そこにある」ものだ。芸術はどれだけ愛でても永遠の存在にはなりえないように、鎧の身体を得た僕もそれを覚悟していた。
『クヤしぃなぁ……ぼぐは、最期までピオのddEめに……』
「ウィリスの為にも……じゃないか?復讐に溺れた哀れなウィリスと、逝ってしまったピオさんと。ウィリスに目を覚まして、一緒にあの世に行こうと思ったんだろう?」
あの日――ウィリスが「あの8人に復讐しよう」と持ちかけた時に、再び憎しみが蘇らなかったと言えば嘘になる。少なくとも、自分がピオの剣を担当していればミスなど絶対に起きなかった筈だ。あいつらに責任があるという点に置いて、僕とウィリスの意見は一致していた。
だが、違うんだよウィリス。
あの結果は8人と、僕と、そして君の10人が導いた結果なんだ。その事実だけは絶対にはき違えることが出来なかったから、僕は復讐せずして過ごしていたんだ。利益に走った時に結局折れたのは誰だ?改造以外の事をしたいからと妥協を許したのは誰だ?その中に僕と君が含まれていないなんて、そんな都合のいい話があるだろうか?
君も同じ思いだと思っていた。だから憎しみを堪えきれていたんだ。そして君がその沈黙を破り復讐すると言い始めた時、僕はその憎しみを復活させたと同時に決意した。この殺人計画の犠牲者を二人増やすことを。
可憐な『舞牡丹』を散らせた罪深き10の罪人。その最後の二人を君と僕で埋めることで、本当の意味で僕たちの贖罪は終焉を告げる。
擦れきった感覚は、ウィリスを騙して持たせたペンダントから感じる波動さえ読み取れないほどに摩耗している。もとよりこれほど巨大な鎧、自意識を保ったまま魂の
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