暁 〜小説投稿サイト〜
天使の箱庭
シーン6〜7
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春香「先生…。六年生の時担任だった、綿貫先生?」
        
背後で今度はジャージの女がスポットライトに浮かぶ。
  
(女児の声)『(女の子二人の泣き声)かわいそうに…ほらほら、もう泣かないで。
     今日からおばちゃんが、あんたたちのパパとママになってあげるからね。
     心配いらないわよ。さあさ、こっちにいらっしゃい。』
  
(女児の声)『おばちゃ〜ん、うえ〜〜ん…』 
    
春香「おばちゃん? 純子おばちゃん。」
        
背後で夫婦がスポットライトに浮かぶ。
  
両親の声『(母)春香、宿題を終わらせてからでないと遊びに行っちゃだめよ。』         

『(父)算数の宿題か、よーし、パパが手伝ってやろうな。』              

『(母)あなた、春香を甘やかさないでちょうだい。』                 

『(父)いいじゃないかママ、少しぐらいなら… なあ、春香。』       

(女児の声)『うん、ありがとうパパ。』
    
春香「パパ… ママ…」
        
廊下の壁に猫のシルエットが浮かぶ。
 
(女児の声)『(泣きながら)みーすけが死んじゃったぁ〜』
    
(父の声)『そうか…、可愛がってたのになぁ…』
    
(母の声)『春香の手でみーすけをお庭に埋めてあげなさい。』 
 
(女児の声)『(泣き叫ぶ)みーすけ! みーすけ〜〜!』
        
背後で猫の泣き声が響く。
    
春香「みーすけ…」
        
春香、少し落ち着きを取り戻し、静かに立ち上がる。
    
春香「みんな、来てくれてたのね。私のそばに… 私を迎えに…」
        
やがて雨音が止み、春香がスポットライトに包まれる。                
安らいだ表情になる春香。
    
正木「あなたのように一人暮らしで仕事熱心な方ほど、自分の死に気づくのが遅れるみたい。
   セミナーの方たちもみんな、お迎えの方と一緒についさっき旅立たれようですよ。
   でも野口先生はまだ気づいてないみたい。あの方にもお迎えが来ているはずなんですけどねぇ…。   このままだと、いつまでも病院の中をさまよい続けることになるわ…                やっぱり、私からお伝えした方がいいのかしら…」
         
春香、両親やおばたちに囲まれる。眩しいの光に包まれる春香たち。(暗転)



       
部屋に内藤と堀が賑やかに入ってくる。
内藤が堀に二枚の写真を見せながら 
    
内藤「ねねねねっ、どっちがいい?                   
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