シーン6〜7
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りよく覚えてないみたいなんですよ。」
春香「そうですか。」
野口「そうだ、警備室のモニターに奴が映ってるかもしれない。僕ちょっと見てきます。」
野口、部屋を出ていく。
春香、携帯を取り出し電話をかける。しかし相手は出ない。
イライラしながら何度もかけなおす春香。 そこへの30代半ばくらいの夫婦が静かに入ってくる。
春香のそばに並んで座ると春香をそっと見つめる二人。
春香、携帯をしまい、カバンから手帳を取り出してページをめくる。
ふと視線を感じ、夫婦と目が合う。お互いに軽く会釈。
春香「あの…、その辺で制服姿の男性を見かけませんでしたか。」
妻「さあ…、そんな人いたかしら。(夫に)あなた気が付いた?」
夫「いや。」
春香「そうですか。もしかして、お二人はバス事故の関係者の方ですか?」
妻「関係者って言えば、まあ、そうなるかしらね。実は娘をね…」
春香「犠牲者のご遺族ですか…」
夫婦、困ったように顔を見合わせる。
春香「そうですか…。それはお気の毒に… お悔み申し上げます…」
春香、パソコンの机に戻り、席に着く。
夫「まあ、人生何が起こるかわからないものだが、突然、家族や親しい人を亡くすってのは
辛いもんです。」
春香「ご遺族の方のお気持ちはよくわかります。私も10歳の時に事故で両親を亡くしているので。」
妻「そう…。ご苦労なさったのね。」
春香「苦労というほどのことは…。独身でOLをしていたおばが姉と私を引き取って
育ててくれたんです。そのおばも2年前に亡くなりましたが…」
妻「そうなの…」
夫「残された者も辛いが、死んだ者にとっても遺族のことが心残りなものらしいですよ。
(春香に)あなた、どうして仏壇の位牌がこちら側を向いているか知ってますか。
死んだ者が遺族のことを見守る為だそうですよ。
あなたのご両親もきっと、いつもそばにいて、あなたのことを見守ってくれているはずです。」
夫婦、春香を見つめて微笑む。しばしの沈黙のあと
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