シーン4〜5
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………」
野口「最近ね、妹がよく夢に出てくるようになったんです。いつも同じ夢で、妹が僕に何か話しかけて るんですよ。でも、その声がどうしても聞きとれなくて… 何を言ってるんだかすごく気になるん です。でも、なんとなく想像はつきます。偉そうに、臨床心理士なんかやってるんじゃないわ よ、妹ひとり救えなかったくせにって、きっと文句言ってるんですよ。」
春香「そんな… 妹さんのことは先生のせいじゃ…」
野口「へへ、すいません、なんか、暗い話になっちゃって。
そうだ、島田さん、今夜空いてますか? 良かったら一緒に夕飯でもどうです。」
春香「え? でも、奥様がおうちで待ってらっしゃるんじゃ。」
野口「あれ? 言ってなかったっけ。僕も独身ですよ。研究に没頭しているうちに、女性が誰も寄り付 かなくなってしまいましてね。久しぶりなんです。仕事以外でこうやって女性と二人きりで話す なんて。だけど島田さんみたいな美人な方が未だにお一人とは信じがたいですねぇ。恋人も?」
春香「いません。この歳になると、いいなぁと思う人はみんな既婚者。
残ってるのはカスばっかり。ああ、先生は別ですよ。」
野口「へへ、そうか、島田さんは理想が高いんだ。」
春香「そういうわけでもないんですが、相性ってやっぱり大事でしょ。
私って、人に甘えるのが下手なんです。言いたいことなんかも全部ため込んでしまうし…。
素直じゃないんですよね。
そうだ、先生みたいな臨床心理士の恋人っていいかもしれませんね。
何も言わなくても私の心をちゃんと読みとってくれそうですもの。
抑圧とも置き換えの心理とも無縁でいられそうだわ。」
野口「どうでしょうね。試してみますか?」
春香「え?」
野口「友人がイタメシ屋をやってましてね。お好きですか? イタリアン。」
春香「ええ、大好きです。」
野口「じゃあ、行きましょうよ、今夜。」
春香「はい。男性から食事に誘われるのなんて何年ぶりでしょ。もう涙がちょちょぎれそうです。」
野口「ふふ。あ、そうだ、オードブルにカラー別深層心理のレクチャーでもお付けしましょうか。」
春香「ああ、この間の続き…。いいですねぇ。楽しみだわ、是非。」
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