シーン1
[前書き]
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高速バスが異常なほど側壁に近づいた。
運転手はうとうとっとしかけ、慌てて急ブレーキをかける。
寝静まっていた座席がにかわに騒ぎだす。
連続する衝突音。側壁に何度も擦るバス。
「きゃーー!!」あちこちから悲鳴があがる。
運転手が必死にハンドルを切るが、バスは完全にコントロールを失い、
もはやどうすることもできない。
バスの先頭が壁に鋭角に突っ込んだ次の瞬間、バスは壁にはまり、
前輪は足場を失ったが、そのまましばらくバランスを保っていたかに見えた。
が、やがて天秤が振り切れたように、そのまま下へとゆっくり転落し始めた。
何度も回転を繰り返し、乗客を乗せたまま、長い車体が暗い谷間へ吸い込まれて行った。
午後七時台のバラエティ番組が盛り上がりを見せる中、ニュース速報のテロップが流れる。
『午後7時30分頃、東名高速道路下り線、清水ジャンクション付近で、高速バスが転落し、
多数の負傷者が出ている模様。』
テロップは二度流れたが、画面では相変わらず芸人たちがバカ騒ぎをして、
会場をどっと沸かせていた。
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