一章
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「う……、ん?」
あれ?寝てた……
寝てた!??
「うぇぇぇぇ!!なんで起こしてくれないんだよ!ゼロ!!」
…………
「……どちらさま?」
「黙ってろ、人質。殺すぞ」
うわあ、ガラのわるい……。なんでこんなことになってるんだろ。ゼロは?昼間なのに外出?
というか、今日にしてもこの前にしても、この宿のセキュリティはどうなってるんだ
「あのー。じっとしておくから本読んでていい?」
「き、肝の座ったガキだな」
「まぁ全身凶器みたいな人と一緒にいるからね」
ぼくには時間がないんだよ。なんで寝ちゃってたか……思い出せないけど、遅れたぶん取り戻さないと。
さて、本、本……
「だれがいいっつったよ!おら」
「……うるさいなあ」
なんだよ!邪魔しないでよ
試験に落ちたらどうなると思ってんの!
「おとなしく人質になってあげるから邪魔だけはすんな!!いい!!?」
「……は、はい」
まったく、もう
え。この本……なんか下の方が折れてる
あれ?こんなことしたっけ?
ページをめくる
折られたページには赤ペンで乱雑に丸がしてあった。長い文章にはびーっと線が引いてあって、単語に丸。
……なんだろ
この人がやったとは思えないし……
ぼくが頭をかしげていると、男の人の無線機みたいなのが、ザザザっと鳴った。応答する男の人。すると、ガサガサとした音と声が聞こえた
『だ……だずげで……ゆるじてぐれぇえ……』
声はそこで止んで、聞きなれたあの人の声がした
『おい、生き残り。あとはお前だけだ。5秒以内に出ていけ』
男は脱兎のごとく、部屋から消え去った。
武器も無線もおいて
「…………もしもーし、ゼロ?」
『あ?なんだ。ぴんぴんしてんじゃねぇか』
「まぁなんもされてないし。ちょっと首が痛いけどね」
『あー。そんな強くしたつもりねぇんだけど』
犯人はあんたかい!!
「それより、この丸と線。なに?」
『あ?覚えろってこと。そこのなかからでるから。問題』
……ん?
「問題知ってたの!?」
『んなわけあるか。予測だよ、予測』
「……つまりはヤマ勘?」
『出題傾向、最近の世間の問題、出題者の性格。それを踏まえた勘』
「すごいっすね!!」
『今ごろかよ。窓、開けとけ。入るぞ』
そう言われて窓を開けると、すぐに翼をだしたゼロが飛び込んできた。優雅だなー……って……
「どうしたの!背中!!」
「あ?騒ぐなよ、こんくらいで」
騒ぐよ!血だらけだよ!?血!!!
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