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dark of exorcist 〜穢れた聖職者〜
第34話「刻み込まれた記憶・2」
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―――8年前
―――【ヴァチカン"悪魔狩り連盟 ルークス・ソーリエ" 大聖堂】
「………ポーランド、ですか……」
アルバートに呼び出されたクリスは、大聖堂に来るや否や突然指示を出された。
――いきなりで悪いんだけど、ポーランドに行ってくれないかな?
アルバートの人使いの荒さは今に始まったことじゃないし、逆らう理由も特にない。
とは言え、本当に突然ポーランドに行けと言われれば、誰でも困惑する。
「ポーランドで何かあったんですか? 強力な悪魔でも出現したとか……」
「そういうことじゃないんだ。むしろ、悪魔よりもタチが悪いかも知れない」
「………? どういうことですか?」
アルバートが言うには、ポーランドのとある地域でこんな噂が流れているらしい。
"悪魔の子に教会の制裁が下った"
"教会の神父たちが悪魔の子を捕らえた"
「悪魔の子………民間人が悪魔を捕縛した、ということですか?」
「噂だけ聞けばね。でも、ちょっと調べるとなんかキナ臭い感じがするんだよねぇ……」
「その噂の"悪魔の子"なんだけどね……見たことある人は銀髪だったって言うらしいんだよ。それってさ」
「……まさかとは思いますが、僕と同類……フォールマンかも知れない?」
「そう。それに、その噂が流れてる地域って、十字架に対する信仰が異常なほど強い。つまり、悪魔に対する
嫌悪感や敵対意識が色濃く根付いてる。そんな地域にフォールマンがいるなら、その地域の人間に少なからず危害を
加えられる可能性がある。……フォールマンの身体能力は人間よりも上。なのに人間に捕まったってことは、考えられるのは主に2つかな」
「そのフォールマンが"子供"か、"女性"か、だね」
確かにアルバートの言う通りだった。
例えフォールマンと言えども、そのすべてがクリスのように強力な個体と言うわけではない。
特に力の弱い子供や女性では、相手が人間であっても抵抗力が十分とは言い切れない。
「……アルバートさん。もし、その噂の"悪魔の子"がフォールマンだった場合は…どうしますか?」
「保護してもらう。それでルークス・ソーリエまで連れ帰ってきてもらう」
「連れ帰ってどうするんですか? フォールマンなんて"危険因子"は僕一人で十分です」
「危険因子? フォールマンも人間さ。ただ人間より頑丈ってだけ。いい加減自分に卑屈になるのやめなよ」
「…………」
「それに、この世界はフォールマンに優しくない。迎え入れた後は、この世界で生きていけるだけの技術を叩き込む。
この世界に生きるすべてのフォールマンは、君のように強く、逞しく生きるべきだ。そうだろう?
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