第五話 姉の苦悩その十八
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「そう考えてるの」
「僕となんだ」
「それじゃあね」
「それで何時かな」
「近いうちよ」
優子は期日は言わなかった、そこまでは考えておらず決めていない。それで言える筈もないことである。
「場所もまだ決めていないわ」
「そうなんだ」
「それでもね」
「僕とだね」
「ええ、行きましょう」
「二人でだね」
「姉弟でね」
この絆をだ、優子は言った。
「それがどうなってもね」
「どうなってもって?」
「私は優花のお姉さんだからね」
「?お姉さんって」
「何があってもね」
「いや、それはね」
そう言われるとだった、優花は。
目を瞬かせてだ、こう優子に返した。
「言うまでもないことじゃ」
「私が優花のお姉さんってことは」
「そう、言うまでもないじゃない」
こう優子に言うのだった。
「もうね」
「そうよね」
「そうだよ、何かおかしいよ姉さん」
「そうかしら」
「最近お酒ばかりで飲まないと思ってら」
「おかしい、ね」
自嘲を込めた笑みになっていることがわかった、だが。
それでもだ、優子はその自嘲も抑えてだ。そのうえで優花に言った。
「そうかしら」
「そうだよ、何かね」
「そうかもね、けれどね」
また言った優子だった。
「それでも私は優花のお姉さんね」
「だからそれはね」
「言うまでもないっていうのね」
「そうだよ」
眉を顰めさせてだ、優花はその姉に言葉を返した。
「それはね」
「そうよね、じゃあね」
その弟の言葉を受けてだ、優子は。
静かな微笑みになってだ、こう弟に言った。
「本当に何があってもずっとね」
「姉さんは僕の姉さんだね」
「それで何があっても、どんな相手でも」
こうも言ったのだった。
「優花の傍にいるからね」
「僕を守ってくれるってこと?」
「そうよ」
「これまでもそうだったと思うけれど」
「これからもよ、それでね」
さらに言ったのだった。
「これまで以上によ」
「僕をなんだ」
「守るから」
「そうなの」
優花はここでも女言葉になっていた、それで。
優花はふとだ、自分でも言った。
「何か最近ね」
「言葉がっていうのね」
「たまにこうした時があるんだ」
「女の子みたいな喋り方になるんだね」
「そうなんだ」
今は男の言葉で言った。
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