第二十六話 困った子ですその六
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「結婚する人とだけよ。男の人と気軽にデートなんてできないわよ」
「あらあら、だったらキスなんてまだまだね」
「本当に純情なんだからこの娘は」
「純情とかそういうのじゃなくてね」
八重歯が出ているのが自分でもわかります。こうした話になると自分でもついつい感情的になってしまって八重歯が出てしまいます。
「そういうことはしっかりしておかないと。そうでしょ?」
「ちっちは何でもしっかりし過ぎよ」
「っていうかあれ?生真面目に考え過ぎ」
「考えて悪いことないじゃない」
本気でこう思います。
「特に。こういうことは」
「その真面目さがねえ。いいんだけれど」
「けれど。何か最近ねえ」
「最近。何よ」
「いえ、気付いたんだけれどね」
同じ東寮の女の子の一人が私に顔を向けながら言ってきます。
「ちっちってメイド系なのよね」
「あっ、確かに」
「そうよね、どう見ても」
他の皆も彼女の言葉に頷きだしました。
「小柄だしショートヘアだし童顔で色白いし」
「メイド服あからさまに似合いそうよね」
「礼儀正しいしよく気がつくし腰が低いしおまけに黒もエプロンもよく似合う」
「どう見てもメイドよね」
「メイドって」
言われて思わずキョトン、でした。
「私が?メイド?」
「そうよ。お帰りなさいませ、御主人様って感じでね」
「それ言ったら阿波野君?だったっけ」
どうしてもこの名前を出したいみたいです。殆どトラトラタイガースで絶対に阪神の選手の名前が出るみたいに。あの番組が関西ローカルと知ったのはつい最近ですけれど。
「彼に言ってみたら?一発で抱き締められるかもよ」
「で、一気にキスまで」
「よっ、この年下キラー」
「・・・・・・はったおすわよ」
本気で怒ってきたのが自分でもわかります。
「何よ、メイドとか御主人様って。私そんな趣味ないわよ」
「だから例えよ」
「怒らない怒らない」
「普通に怒るわよ」
ここでも八重歯が出ているのが自分でもわかりました。
「いつもいつも変なこと言って。特に今日は」
「まあまあ」
「とにかくよ」
「とにかく?」
「落ち着くことよ」
「これでどうやって落ち着けっていうのよ」
「あのね、私達別に悪いことは言っていないのよ」
こう私に言ってきました。
「別にね」
「別にって?」
「そうよ。私達むしろ喜ばしいことだって思ってるんだから」
「ねえ」
皆で言い合っています。
「ちっちがねえ。結構な男の子と知り合えて」
「悪い子じゃないわね、その子は」
「?そういえば」
言われて気付いたことができました。
「別に暴力とかそういうことはないし。粗暴でもないわね」
「粗暴な人間はそれだけで人間のランクをかなり下げるわよ」
「あと陰湿?陰険?」
「
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