第三百十八話
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第三百十八話 本当にあっさり
博士は小田切君に言うのだった。
「何ならまた一個出すぞ」
「ダイアをですか」
「ダイアでも何でもじゃ」
「どんな宝石でもですか」
「わしは原理を知っておるからな」
宝石を造るそれをというのだ。
「だからな」
「他の宝石でもですか」
「造ることが出来る、だからな」
「もう一個ですか」
「何個でもじゃ」
話は大きくなる一方だった。
「出すが」
「それで売りに行けばですか」
「その売ったお金は小田切君のものじゃ」
このこともまた言う博士だった。
「たまにはボーナスじゃ」
「いえ、ボーナスは年二回貰ってますから」
夏と冬に一回ずつだ。
「それも三ヶ月分」
「いや、臨時ボーナスじゃ」
金払い等の待遇はいい博士である。そいじょそこいらのブラック企業どころではない悪名高い人物であるが助手の待遇はかなりいいのだ。
「気にせんでもいい」
「それが一千万単位ですか」
「だからわしには何でもない金じゃ」
「僕には何でもありますよ」
そこまでの金はというのだ。
「信じられないですよ」
「まあ軽く考えることじゃ」
「売りに行けばいいんですか」
「うむ、その金でマイホームでも買うのじゃ」
「一人で住んでも寂しいだけですよ」
一軒家に住んでもというのである。
「精々マンションで充分です」
「ではマンションでどうじゃ」
「ううん、それでも何か」
それだけの金はと言う小田切君だった、そして。
断ろうと思いかけたがだ、博士はその小田切君にだった。
そこからダイアと同じだけの大きさのサファイアやルビー、エメラルド、アメジスト等様々な宝石を出して笑って言ったのだった。
「手の中で造った、持って行くのじゃ」
「もうですか」
「だからわしにとってはこれ位はじゃ」
「何でもないんですね」
「そうじゃ、だからこれを全部売ってな」
「売った分は僕のボーナスですか」
「一億にはなるかもな」
「ありますか」
「あるじゃろうな」
それだけの価値はあるだろうとだ、あっさりと笑って言う博士だった。
第三百十八話 完
2016・2・19
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