第五幕その十
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先生もです、こう言います。
「本当にどっちを食べようかな」
「それが問題ですね」
「毛蟹にするかタラバガニにするか」
王子が言うことはといいますと。
「それが問題だね」
「ハムレットだね」
「無理があるかな」
「いやいや、この場合はどちらもだけれどね」
結局は両方共食べることになると言う先生でした。
「そうなるね」
「そうなんだね」
「そう、それじゃあね」
「うん、今日と明日のそれぞれの夜はね」
「蟹だよ」
このことは間違いないというのです。
そうしたお話をしながら地下鉄を出てです、道庁の建物の前に来ました。庁舎の建物は赤い煉瓦造りで左右対称で。
とても大きくてです、動物の皆は何処か東京駅を思わせる壮麗で真ん中に円形のアーチまであるその建物を見て言いました。
「こんなのが庁舎って」
「いいよね」
「宮殿みたいだよ」
「欧州のね」
「けれどやっぱり欧州のどの国にもない」
「そんな建物だよね」
「うん、小樽と同じでね」
先生も言います。
「この庁舎も西洋を取り入れたけれど」
「日本の中の西洋ね」
「それなのね」
「そうだと思うよ」
こう皆にお話するのでした。
「日本人が考えたね」
「若しもだよ」
「この庁舎がね」
オシツオサレツが言うことはといいますと。
「雪に覆われたら」
「凄く奇麗じゃないかな」
「あっ、そうね」
「確かに映えそうね」
チープサイドの家族もここで言います。
「白い雪の中の赤い庁舎」
「これはいいわよ」
「赤と白はお互いに映えさせるのよ」
ガブガブも指摘します。
「目立たせ合ってね」
「そうね、この赤はいい赤だし」
ポリネシアは庁舎のその赤から冬を連想しています。
「真っ白な雪の中にあったら最高よ」
「そして雪が氷になって輝いて」
トートーは雪のことを言います。
「銀も入るんだね」
「ううん、どれだけ奇麗なのかな」
ダブダブも少し想像がつかない感じです。
「想像がつかないね」
「実際に見ないとね」
老馬の頭の上からホワイティが言いました。
「ちょっとわからないけれど」
「多分奇麗だろうね」
ホワイティを頭に乗せている老馬の言葉です。
「銀世界の中の赤い宮殿って感じで」
「そう言うと何かロシアみたいだね」
ジップは雪と赤い宮殿、クレムリンから連想しました。
「それだと」
「確かにそうだね」
チーチーはジップのその言葉に頷きました。
「それだと」
「うん、北海道はロシアを意識することが多い場所だけれど」
先生も皆のお話を受けて言うのでした。
「赤と白だと余計にだよね」
「そうだよね」
「この庁舎はロシア風じゃないけれど」
「雪の中の宮殿っていうと」
「何処かロシアだよね
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