レベル2 おじゃま、します
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替えている。
「……」
「あら、最近の技術って凄いのねぇ」
母親の呑気な感想に、樢は戦慄するばかりだった。
「で、なんで私の家に入ろうと思ったの?」
侵入については殆ど諦めながら、樢は樢の部屋に向かう夢値の後を着いていった。
「取り敢えず家の中からの構造を大方把握しておきたかったというのもあります。……それに、」
夢値は樢の部屋の扉を開けた。
「立ち話も、なんですから」
部屋の中は物が雑多に置かれていてとても客人を招き入れる雰囲気ではなかった。
(ま、まぁ客人じゃないし)
「……さて」
夢値は慣れたような手つきで2人が座る分の床を確保した。
「僕がまず話したかったのは、ハンターの危険性についてです」
夢値がそう切り出していると母親がお菓子とジュースを持ってきた。
「お気遣い無く」「どうぞどうぞ」といったやりとりをしてから夢値が受け取ると、母親は笑顔で部屋から引っ込んだ。
「……お母さん、まさかあのままなんてことはないでしょうね?」
「多分大丈夫ですよ」
「多分って……」
「話を戻しますと、」
夢値は真面目な顔つきになった。
「ハンターは神出鬼没です。よっぽどの場所でない限り、どこにいても不思議ではありません」
樢は非現実で怪しげなワードを信用するか迷った。
「彼らはサンサーヴを手に入れる為にあらゆる手を使います。例えば、」
夢値はゆっくりと立ち上がった。
「もう、この部屋に忍び込んでいるかもしれない」
「え?」
「まぁ、もしそうならば……」
夢値は顔をしかめた。
「家主の許可も得ない、少し無礼な侵入者ということになりますけどね」
人の家の庭でラジオ体操していた人はそう呟くと辺りを見渡した。
「……いるの?」
樢は少し心配になってきて、立ち上がることにした。
「分かりません。ただ、彼らには常識が通用しません」
非常識な言動を繰り返す人はベッドを見た。
「これはぼくの仲間の話なのですが、ある日ベッドの下から物音がすることを不審に思った彼は、ベッドの下を覗き込んだのです。……するとそこには、デッキを構えてにたりと笑っているおじさんが!」
「怖いわよ!」
「ともかく、ハンターがいないだろうと思って油断していると思わぬ不意打ちに遭います。……例えば、」
夢値は机の方に顔を向けた。
「あの机の中で、ハンターが息を潜めているかもしれません」
「机に……」
樢は小学校の頃に買ってもらった、半ば物置となっている勉強机を凝視した。
見たところそこに人はいない。引き出しだって人の入れるものではない。だが、樢は悪寒がした。
「はい。一見何も無さそうでも、彼らはいきなり奇襲をかけて……」
「床の中から切り捨て御免!!」
何か背後で大きな破壊音がした。
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