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豹頭王異伝
暁闇
ヨナの采配
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「ギール殿、御役目御苦労。
 早速だが、伝言を聞こう」
 心話には慣れているが、グインは部下達に配慮し敢えて声を張った。
 ギールは国王に対する礼を捧げ、周囲の騎士達にも聞こえる様に魔道で音量を増幅。
 アルド・ナリス復活の希望に湧く神聖パロ、マルガからの使者が感謝の言葉を述べる。

「リンダ王妃・アドレアン公子を御救いいただき、パロ全国民が感謝しております。
 宰相ヴァレリウス以下神聖パロ一同、揃って御礼を申し上げます。
 エルファ・サラミス方面の首長達には宰相、王妃の名で貴軍に協力を要請致しました。
 私も豹頭王陛下の指揮下に入り、魔道の奇襲を警戒せよと命令を受けております。
 ケイロニア軍の邪魔にならぬ様、同行させていただく所存であります」

 心話を併用し詳細な戦況を報告する魔道師に頷き、グインは吼える様に笑った。
「大変、助かる。
 我々、ケイロニアの者は魔道に不慣れだからな。
 何よりの御申し出、有難く受けさせて頂く」

 魔道師は尋常な返答に平伏、ケイロニアの騎士達も緊張感が緩んだ。
 グインに同行した直属部隊、竜の歯部隊も魔道には疎く独特の異様な空気に慣れておらぬ。
 昨日も竜騎兵に襲われ、不安を掻き立てられている。
 豹頭王の周囲に控える者も昨晩は殆ど眠れず、かなり消耗していたのだ。

「寛大なる御返事、畏れ入ります。
 神聖パロ王アルド・ナリスは陛下の厚意により、治療中であります。
 本来であれば代理として、ヴァレリウス自ら御前に参る所でございますが。
 古代機械の警護を務め、キタイの竜王に備えております」

「その方が良いだろうな、俺も彼奴の出方は気になる。
 ヴァレリウスが詰めていてくれれば、リンダ王妃も安心だろう。
 我々も早急に合流地エルファ、サラミス街道を経由し神聖パロ本拠地マルガに向かう。
 ケイロニア軍が先行する心算だが現在只今の所、イシュトヴァーンは何処に居る?」

 竜の歯部隊1千は自ら鍛え上げた精鋭だが、ゴーラ軍3万の足止めは困難と言わざるを得ぬ。
 イシュトヴァーンが万一マルガに急行の場合、パロ北西の別動隊と合流する余裕は無い。
 以前ヴァレリウスが面会を求め現れた際、サンガラの最新状況を手土産と称し教えてくれた。
 竜の歯部隊も斥候は出し偵察を怠っておらぬが、残念ながら情報伝達能力は魔道師の方が優る。

「ゴーラ軍3万は激戦地ダーナム周辺の敵、ベック公軍を駆逐しました。
 クリスタルから派遣された聖騎士団の逆襲に備え、ダーナムに留まっておりますが。
 数日中に食糧の補充が困難となり、マルガに向かうと推測されます」
 イシュトヴァーンが逸早く動き、神聖パロ最大の拠点に直行するのではないか。
 アルド・ナリスにも劣らぬ冷徹な戦術家、口車の
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