暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第十一話 脆い心、幼い心
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「あ……いや、その……ね」

 考えていたことが口に漏れてしまい、フェイトに気にされた俺は、これも言葉にしようと思って話す。

 さっきまでのことを。

「実は雪鳴の妹の、柚那って子に再会してね」

「喧嘩でもしたの?」

「正解……かな」

 マジな殺意を飛ばされていた辺り、喧嘩なんて生易しいものじゃないとは思うけど、間違ってはいないような気がした。

 所詮、俺たちの中で起こることなんて大人からしたら喧嘩の一言で済まされるのだから。

 だけど……いや、だからこそ。

「ちゃんと、謝りたいんだよな」

 子供は、悪いことをしたらすぐにちゃんと謝る。

 そんな当たり前のことをできないと、大人になったら謝ることのできない大人になってしまう。

 父さんと母さんから教えられた、当たり前のこと。

 だけど俺はさっき、その当たり前のことができなかった。

 この胸にある後悔や痛みの原因は、きっとそこなのだろう。

 フェイトに話しているうちにそう思えた。

「ありがとう、フェイト」

「え?」

「君のおかげで、大事なことに気づけた」

「大事な……こと?」

「うん」

 俺は窓から差し込みだした日差しを見つめながら――――

「やっぱりみんな、俺にとって大事な人たちなんだってことを」

 決意に満ちた笑みで、そういった。
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