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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第十一話 脆い心、幼い心
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年前から今まで、ずっと眠りについてる」
「え……」
掠れるような声。
それと同時に、フェイトの表情から血の気が引いていく。
そしてこの記憶と現実に触れることで、俺の胸の中にあの頃の痛みが蘇る。
胸の中にポッカリと穴が空いた感覚。
その周囲をやけどのような痛みが襲う感覚は、慣れないな。
「色んな医者に相談したよ。 専門外の医者、他世界の医療技術、投薬や魔法による治療。 色々ためしたけど、姉さんの身体がガリガリにならないようにするのが精一杯だった」
すぐに退院できて、唯一生還したのが、俺だった。
なんで?
その問いに答える言葉があるとすれば、『運が良かった』としか言い様がない。
運良く両親ほど深い傷ではなく、姉さんほど重症にならずに済んだ……それだけのことだった。
「俺が海鳴に来たのは、長期休暇が目的だったんだ。 俺たち一家をこんな目に遭わせた犯人の捜索、それの代償に管理局で働いていたから、疲労回復や、学生らしい生活を送ること。 そして、今も眠りについてる姉さんの側にいること。 姉さんが起きたとき、いち早く駆けつけられるように」
結局のところ、それが一番大きな理由だった。
姉さんが心配で、姉さんがまだ生きてるってことを実感してくて、姉さんの側にいたくて。
そんな甘えたい感情が、俺をこの世界に送ったのかもしれない。
艦長から休暇を貰わずとも、俺は結局こうしていたんじゃないかなって、今はそう思う。
「そう、だったんだ……」
「うん、そういうことがあったんだ」
言い終えて、俺は壁に取り付けられた時計を確認する。
時刻はすでに日付を跨いで朝の四時。
なるほど、通りで眠いわけだ。
どのみちフェイトの監視も含めて学校は休む予定だったし、明日からは土日だから一日休んだって構わないだろう。
「ありがとな、わざわざ話を聞いてくれて」
本来であれば話すべき相手ではない。
フェイトだって、自分が聞いていい相手でないことくらいわかってただろう。
けど、彼女なりの気遣いに甘えてしまった。
今までの俺らしからぬ行為に、俺自身が驚いてる。
(相当キテるんだな、俺……)
さっきの、柚那の言葉があまりにも俺の胸を抉った。
――――『アンタは絶対に許さない。 ずっとお姉ちゃんを苦しめた、アンタだけは!!』
柚那の怒りの意味を、俺はすぐに理解した。
だけど、雪鳴が苦しんでいたってことを、今更理解した。
もっと早く気づければ、こんなことにはならなかったのだろう。
柚那を怒らせ、雪鳴を苦しめることもなかった。
「後悔先に立たず、か」
「え?
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