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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第十一話 脆い心、幼い心
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強かった。
父さんの遺伝子を色濃く受け継いだのは、間違いなく姉さんだと思う程に強かった。
「俺が武者修行を始めた理由の一つを付け加えるとしたら、強い姉さんに対して弱い弟なんてレッテルを貼られたくなかったから……なのかもしれない」
意地の一言に尽きると思う。
姉さんが強くて、賢くて、皆から憧れを抱かれて。
そんな人の弟はどうなんだって言う周囲の期待に応えたかった……のかもしれない。
「だけど本当の姉さんは甘えん坊で、面倒くさがりで、不器用で、家事とか料理が全然だめな……へっぽこ姉さんだったよ」
「ふふっ」
そこでフェイトが笑い、俺も笑う。
フェイトは気づいていないけど、俺に見せた笑顔で一番いい笑顔だった。
それを言うと恥ずかしくなってしまうだろうから、俺の心にそっと隠しておくけど。
「だから帰省して抱きついてきた姉さんは、次に大泣きして俺の服汚してさ」
予想通りだったけど、姉さんは寂しかったと言いながら泣き喚いた。
涙と鼻水で俺の服を汚し、ぐしゃぐしゃの顔になった姉さんとともに風呂へ入る結果になった。
「そのあとは家族全員でパーティーをした」
「黒鐘が帰ってきたから?」
「いや、その日はクリスマスだったんだ」
12月24日。
だから正確にはクリスマスイヴ。
丁度その時に帰ってきたから、俺の帰省パーティーよりもクリスマスのほうが大きかった。
「楽しかったよ。 半年とは言え、自分から武者修行って言い出したとは言え、やっぱり実家は……家族といる時間は、幸せだからさ」
「うん、そう……だよね」
フェイトの返事がはっきり、噛み締めるように出されたのはきっと、彼女を今の状況に陥らせながらも彼女が母を大事に思っているからなんだと思う。
だけど、俺とフェイトが似てる部分があるとすれば、その大切な家族が壊れてしまったということ。
「――――だけど、その日の夜に俺の両親は殺された」
確信になる言葉に、フェイトは体を震わせた。
突然だったかもしれない。
けど、このままだとずっと脇道に逸れて、言わず終いになってしまいそうだった。
でもフェイトに、隠さずに話したい。
でなければ俺は、また間違えてしまうから。
俺はフェイトに見えないテーブルの下、太ももに置いた両手を強く握り締める。
「犯人は未だに捕まってなくて、襲われた両親は殺され、俺だけが助かった」
「それじゃ、お姉さんは?」
フェイトが眠っていたのは姉さんの部屋。
用意して置きながら、そこに姉さんがいない理由。
まだ高町や雪鳴にも話していない、その理由。
「……姉さんは五
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