四糸乃パペット
雨の中の宝石
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な影。
顔はウサギの耳のような飾りのついた大きなフードに頭を覆い隠していた為、分からなかった。
そして、もっとも特徴的なのは、その左手だ。
サーカスに出てきそうなコミカルなウサギ形の人形が、そこに装着されていた。
そんな少女が、元からあまり人の来ない神社で、楽しげにぴょんぴょんと跳ね回っていた。
「・・・昔のボクみたい」
そう思い、空から降る雨水なんて気にしない程に、少女を見ていた。周りから見たら変態かもしれないが、昔、母親に盗撮(?)されていた自分を思い出し、少し微笑ましく見守っていた。
雨靄が薄いカーテンに、ひとけのない神社は彼女のステージとなり、まるで踊っているように跳ね回っている少女の楽しさを引き立たせて―――
―――ずるべったぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!
「・・・?」
相変わらず人形のような顔は変わらないものの、首を傾げた。
女の子が・・・・・・コケた。
前にコケたせいで、顔面と腹を盛大に打ち当て、あたりに水しぶきが飛び散る。ついでに彼女の左手からすっぽり抜け、前方に飛んでいった。
・・・しかし、コケた少女はうつ伏せになったまま、動かなくなる。
「・・・あ」
ふと、死んだ?と思い、もたれていた壁から立ち上がり、左右を見て車が来ないことを確認すると、スタスタと歩き始め、未だ動かない少女に寄ると、その小さな身体を抱きかかえるように仰向けにしてやる。
「・・・もしも〜し」
そこで初めて、少女の顔を見ることが出来た。
年齢は士道の可愛い妹(らしい)。琴里と同じくらいだろうか。ふわふわの髪は澄み渡った海のような青。柔らかそうな桜色の唇。まるで、フランス人形のように、綺麗であり、可愛らしい少女だった。
「・・・!」
と、そこで少女が目を開いた。長いまつげに飾られた、蒼玉のような瞳が狐珀を捉える。
「あ、生きてた。怪我、大丈夫?」
狐珀が言うと、少女は顔を真っ青に染め、目の焦点をぐらぐら揺らし、狐珀の手から逃れるようにぴょんと跳び上がった。
そして、距離を置いてから、全身を小刻みにカタカタと震わせ、狐珀を怖がるような視線を送ってくる。
「・・・あ、そか」
今考えてみると、起き上がったら知らない高校生がいた。なんてただの犯罪者にしか見えない。しかも、それが心配そうな顔であったらまだ助けてくれた人にも思えなくもないが、表情が滅多に変わらない狐珀だと、余計犯罪者っぽく見えてしまう・・・
「えっと・・・」
「・・・!こ、ない、で・・・・・・ください・・・・・・」
狐珀が足を前に踏み出すと、少女が怯えた様子でそう言い、後ろへ後ずさりする。
「いたく、しないで・・・・・・ください・・・・・・」
「・・・ボク、怖くない子。ダイジョブだよ」
「・・・」
何故か心の底から死にたい
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