第19話 箱根へ
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で答えた。
「ふむ、また誑しに行くのか」
そんな友人の地味に酷い呟きなど聞こえなかった士郎は、殴り倒されそうな男性を受け止めた。
「すみません。この人の事、お願いします」
「え?あ、ああ・・・」
友人と思われるもう1人の男に看護を任せて、士郎は瞬時に掴まれている女性の腕を払いのけて助ける。
「!?」
「大丈夫ですか?」
「え?あー、うん・・・」
「何だ、このクソ餓、ヒッ!?」
突然手を払われたものだから、士郎に対して物を教えようとした男が悲鳴を上げながら怯む。
けれどそれも無理からぬこと。
世界の裏側、世界の深淵部で生きてきた士郎の殺気(手加減)に当てられて、そこらのチンピラ風情が怯えない筈がなかった。
「何、チンタラしてやが、あふっ」
古臭い演技をして肩を抑えていた男がしびれを切らしたのか、邪魔する士郎の武力行使しようとしたところで視界に入るなり、濃密な殺気に当てられて泡を吹きながら気絶した。
「な、何、チ、チクショウォオオ!」
「あ」
最後の1人は困惑しながら気絶した者や怯え続けている仲間を見捨てて、自分達の車であろうワゴンに急ぎ乗った。
「・・・・・・・クソ、このポンコツがっ!さっさと、着いた!よし・・・・って、何で発進しねぇ!?」
なかなか着かないエンジンをやっとの思いで掛けたと思い発進させても、動かない事に焦る男。
「何でだ!全部やってんのに何で発進しねぇ!?・・・・・・って、何だ・・・ハッ!浮いてる、って嘘だろ!?」
焦り続けていた男だったが、自分を遠目から見ているやじ馬たちの驚きようを見て周りを確認すると、まず浮いていることに驚きつつ後方に顔を向けると、そこには自分達を窮地に陥れた元凶が車を右手で掴んでいる――――つまり信じ難い事に、車体を持ち上げる事もそうだが片腕一本それを成している異常事態に恐怖する。
「この化けもん、がっ!?」
あまりの事に懐に隠していた拳銃を使い士郎を撃とうとしたところで、車を掴んでいた士郎が手を放したことによりワゴンが落ちる。勿論中にいた男も衝撃を受ける。
「クッそがぁああ・・・っ!痛たたたたたっっ!!」
逆上した男は車から降りてから銃を突き出すが、いつの間にか背後に回り込まれて両腕を取られながら関節技を決められてコンクリートの上で痛がる男。
「テメっ!何時か覚えて、なっ!?」
士郎に負け犬らしいと恨み言を言い切る前に、パトカーのサイレン音が聞こえる。
如何やら事前に誰かが通報していた様だ。
とは言え、駆けつけるのが速すぎる。
幸か不幸か、この近辺をパトロールしていたパトカーが要請を受けて、駆けつけて来たと言った所だろう。
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