第28話復讐の炎を脱ぎ捨てる時
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るぜ《隻竜》ゥーーーーーー!」
「いい加減にしろよこのクズ野郎ォーーーーーー!!」
オレは叫び、剣を大きく振りかぶるクラディールの心臓をーーー手刀で貫く。それによりクラディールのHPは完全に尽き、オレの右肩に倒れ混む。
「この、人殺し野郎が・・・」
「お前に言われちゃ終わりだ・・・腐れ外道」
クラディールの身体が少しずつ歪み始め、この男には似合わない色の光の欠片となってこの世界から消滅した。
「竜兄・・・」
この時背後からオレの名前を呼ぶ声が聞こえた。オレを「竜兄」と呼ぶ人間はーーー妹の未来しかいない。
「クラディールは逝った」
「そっか・・・「だからさ」?」
オレは未来に歩み寄り、《妖刀龍燐》に手を掛ける手を抑える。
「お前は誰も斬らないでくれ。お前が涙を流さないでくれ・・・」
こいつが誰かを殺したら、オレが未来を守りきれなかったのと同じなんだ。守りてぇモンはしっかり守りてぇ。でないとーーー
「そうでないと・・・お前が好きだった弾、お前を愛していた弾が一番悲しむ」
「ッ!!」
未来は弾に惚れていた。弾も未来に惚れていた。そんな男を殺されたら当然復讐の念に駆られる。だからこそ、オレが全てを背負ったんだと思う。弾を愛して、弾に愛されてた未来が手を汚さないように。
気付けば未来がオレの胸に顔を強く当てて震えていた。未来の目が当たってる箇所が少し濡れてるからきっと泣いているんだと思う。この涙は、オレには雨のように感じた。悲しみ、泣き崩れた空が流す涙の雨。そして、どんな憎しみの業火をも打ち消す雨。
「未来」
「・・・何?」
オレの呼び掛けに少し揺れた声で返事をする未来。
「オレ、この忍者服を脱ぎ捨てようと思う」
「え?」
「もう必用ねぇから。オレの復讐の炎は・・・」
もう、燃え尽きたからーーー
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