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大刃少女と禍風の槍
十四節:上を目指す理由
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さね」


 言いながら二人は奇しくも、もう一度『ウィムズ・ステーキ』を注文する。
 そしてまた三分と経たず―――目の前には先程とは違う、透明なソースが掛ったステーキが二枚、大きな音を立ててテーブルに置かれた。

 心なしか前よりも香り高く、肉も分厚く見える。
 多少警戒しながらも、グザは癖なのかまたフォ−クをクルリと回し、チヨメは思いきってフォークを突き立て、互いにステーキを持ち上げる。

 グザは懲りないのかごく普通に、チヨメは恐る恐る口を開け、肉に大口でかぶりついた。


 中から染み出してきたその味は――――


「うおっ……美味(うめ)ぇ……美味え!」
「ヒハハ……ああ、本当にねぇ」


 ―――二人共に、 “アタリ” の味。

 大きな想いを背負ったチヨメの背中を、まるで押すかのように引き当てられたそれは……勇気をも付けてくれる程の美味だったと言う。


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