十四節:上を目指す理由
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、チヨメは一人で腰の曲刀カテゴリ武器を振い、『牛を撃破する事自体は可能だ』と言えるランクまで伸し上がってきている。
安心感を得るためではなく、明らかにクリアへ助力する為、より高レベルを目指している。
……キリト達ベータテスターの助力は少なく、ビギナーから出た強者達も前線に居座り傍にはおらず、先に説明したように周りの者等の助力も期待出来ない。
そんな状況下で、ベータテスターが残したパンフレットを頼りに一人で勝ち抜くなど、並大抵の胆力では利くまい。
一体何が、彼女を其処までさせるのか……。
「其処までして……上に行く理由があんのかい? チヨメの嬢ちゃんよ」
「理由ぅ? んなの当ったり前な事だぜ!」
バン! と思い切りテーブルを叩いて立ち上がったチヨメは、拳を音が鳴る程握りしめ、強い感情の籠った声で主張し始めた。
幾つものパーティー相手にされない状態が、それこそ理不尽な理由から何度も続いた事で、コレでもかと溜め込まれた鬱憤も影響しているのだろう。
そして、恐らく怒りを抱くに足る訳を抱えてもいる。
……だからこそ彼女は強い怒りを放っており、先程までのお茶らけムードは吹き飛んで、真剣な空気が当たりに立ちこめていた。
「こんな糞ゲームさっさとクリアして、茅場の野郎を思い切りぶん殴ってやる為だっての! 何トチ狂ったのかやたらデケェ事件起こして、『HP0が現実の死』とか恐怖煽ってなんか理由があるかと思ったら……『世界を作り、観賞する為にこのゲームを作った』だぁ!?」
近頃は別方向に怒りが向いていて思いだす暇もなかった所為なのか……段々と思いだし感情が湧いててきたらしく、怒りが抑えきれないのか声の音量はどんどん増して、含まれる怒気も濃くなって行く。
もし此処だけを見た第三者が居たのなら、先までステーキで論を交わしていたなど、誰も信じないだろう。
「其処までする理由があんのかよ? 見てたいだけならテメェでNPCでも作ってテメェで眺めて満足してやがれってんだよ! オレらを巻き込む理由なんかねぇじゃねぇかっ!?」
チヨメの発言は的を射ており、正に茅場彰彦が狂気の天才であり、また狂い人である由縁を今一度教えているモノでもあった。
実験がしたかった為に一万人以上も拉致し、既に二千人に届きそうなぐらいの犠牲者を出す。
常識的に考えて、何の得もなさそうなこの計画に、一理あると頷ける人物はまず居ないだろう。
…………と、一気にヒートアップしたチヨメは、話しているうちに段々クールダウンしてきたのか、力を抜いてドカッと椅子に座り直す。
溜息を吐きながら項垂れて……やがてゆっくりと、顔を上げる。
「でも、さ……殴り飛ばして
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