十四節:上を目指す理由
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を持って居た様だ。
確かに現実ではありえない大きさの牛が迫ってくれば誰だってビビるし、少女の反応はある意味当然といえるだろう。
そんなチヨメの話を聞き……同時にグザは頭の中で思考を巡らせる。
チヨメはレストランへ入って大分経つのに、一向に入口方面から仲間が現れないのを見るに、恐らく彼女ははソロプレイヤーに分類される。
しかしキリトやアスナといったソロプレイヤーは稀なのであり、現在攻略目的のプレイヤーは、レベル平均値が10越えるかどうかの者が多く、加えて集団での効率的な戦闘により “数” で勝ち上がってきた者等が殆ど。
エギルやキバオウ達パーティー組の方が専ら大多数を占めている。
……が、例外こそあれど……今攻略を進めている殆どが早くにこの世界を受け入れ、スタートダッシュを決めた者らばかりだという事は、まず間違いないと断じて良い。
そして始まりの街に籠もっているプレイヤー達の半数以上はフィールドへ出る怖れから、装備ランクは愚かレベルすら碌に上げていないだろう。
強引にパーティーを組む事を進めても、恐怖心や逃亡の可能性なども踏まえて、正直対した戦力にならないのが関の山だ。
「ホント大変だったんだぜ? 周りの奴等は除け者にしやがるから、結構時間かかってよ……女がどうとか関係ねぇってのに……!」
何よりチヨメは喋り方や行動こそ男っぽくて豪快な気質だが見た目は完璧に “少女” であり、オマケにアスナには一歩劣るだけで中々に容姿が整っている。
ポニーアップを更に折って留めてある、近寄れば意外と艶のある闇色の髪。
見る者の心も晴らしてくれそうな、正に元気溌剌な笑顔。
サポーター状の鎧で分かり辛いが、スタイルだって良い方だろう。
オマケにアスナの様にフードケープなど被っておらず、見たまんまの性別だと言う事を教えている。
ならば仮に相手が見つかったとて―――「こんな娘をパーティーに入れられない」と相手が拒否してしまうかもしれない。
そして言葉から察するに、如何もそんな目に何度も会って来たようだ。
……このSAOはゲームであり、見た目が強さに関わる要素としては精々リーチや当たり判定ぐらいしかない。
だとしても……精神的なモノなのだからすぐには変られないだろう。
詰まる所、チヨメはこの世界で上層を目指すに置いて、かなり不利な位置にいたと言わざるを得ない。
ソロで居るのを選んだのではなく、ソロに “ならざるを得なかった” のだ。
されど……それならそれでモンスターの弱い【始まりの街】周辺で狩りをしていればいいし、寧ろそれが利口な判断だと言える。
(……一人でも闘える、か……確かになぁ)
―――なのに
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