暁 〜小説投稿サイト〜
大刃少女と禍風の槍
十四節:上を目指す理由
[2/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
たグザとチヨメは一先ず腹に湧いてきた仮想の空腹感を消そうと、腹ごしらえするべく街の一角にあるレストランへ寄る。
 西部劇にでも出てきそうな渋さと、モダンな佇まいが合わさった建物であったものの……立地場所が奥の奥であり、やたらと古びた木材と………内にNPC以外誰も居ないこと。更に漂う妙な臭いが何とも言えぬ不安感を煽っていた。

 が、グザは割と如何でも良かったのか文句は無し。チヨメも対して店の景観を気にしてはおらず、ズンズン大股で入店した。

 喜色満面に席へ付いたチヨメの奢りで、二人は『ウィムズ・ステーキ』という同じメニューを注文。
 三分と経たずあっという間に料理が運ばれてくる。

 そうして二人の目の前へ、デミグラス(の様な)ソースが掛った一品と、オニオンソース(みたいな物)で設えた一品が、ドン! と音を立て置かれた。
 牛肉とソースが焼ける香ばしい香りと、己の顔を超える大きさのボリュームに、チヨメの喉は鳴りグザの口角も上がる。

 そして手の上でフォークを回したグザと、元気よく「頂きます!」を唱えたチヨメが、同時にステーキへかぶり付き―――


「豆腐じゃんか、これ豆腐じゃん!! 噛まなくていいってか味ねぇよ!?」
「…………隠し味に鉄でも入ってんのかい……コレ……」


 ―――冒頭の台詞に繋がると言う訳である。

 ちなみに『ウィムズ・ステーキ』の “ウィム” とは英語で『気まぐれ』の意味であり、アルゴ曰く―――「一種のアタリと三種の普通、二種のハズレがランダムに入れ替わるステーキなのサ」―――らしいとの事。
 即ちこの二人、入って早々二種類の “ハズレ” をそれぞれ引き当ててしまった様だ。
 運が良いのか悪いのか、分からない二人組である。


 コレの真実をグザ達が知ることとなるのは……まぁ大分後なのだが。
 

「う〜ん……不味くは、ねぇけど……けどよぉ……」
「まあ、不味かぁないさね。ソレ “だけ” だけども」


 幸いにして決して食えない訳では無い様だが、腹満たしの食事としてはこの上ない位最悪な選択だろう。

 ……暫くの間二人は無言でステーキを口に運び、堅過ぎるステーキをグザが漸く三分の二ほど食べ終えた所で、チヨメが話を切り出した。


「改めてだけどよ、さっきはアリガトなグザ! あんだけデッケぇ牛だとビビっちまって……本当ならレベルだって上げてっから、充分1人で出来んのに……」
「へぇ、幾つだい?」
「8だ! もうすぐで9行くな!」


 キリト等ゲーマーだとレベルを明かすのは渋る所なのだが、グザもチヨメもゲーム初心者であり、且つチヨメは隠し事が苦手なのか、グザの問いに割とすんなり答えた。
 観光目的で巻き込まれたのかと思いきや、そこそこ高めのレベル
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ