十四節:上を目指す理由
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たグザとチヨメは一先ず腹に湧いてきた仮想の空腹感を消そうと、腹ごしらえするべく街の一角にあるレストランへ寄る。
西部劇にでも出てきそうな渋さと、モダンな佇まいが合わさった建物であったものの……立地場所が奥の奥であり、やたらと古びた木材と………内にNPC以外誰も居ないこと。更に漂う妙な臭いが何とも言えぬ不安感を煽っていた。
が、グザは割と如何でも良かったのか文句は無し。チヨメも対して店の景観を気にしてはおらず、ズンズン大股で入店した。
喜色満面に席へ付いたチヨメの奢りで、二人は『ウィムズ・ステーキ』という同じメニューを注文。
三分と経たずあっという間に料理が運ばれてくる。
そうして二人の目の前へ、デミグラス(の様な)ソースが掛った一品と、オニオンソース(みたいな物)で設えた一品が、ドン! と音を立て置かれた。
牛肉とソースが焼ける香ばしい香りと、己の顔を超える大きさのボリュームに、チヨメの喉は鳴りグザの口角も上がる。
そして手の上でフォークを回したグザと、元気よく「頂きます!」を唱えたチヨメが、同時にステーキへかぶり付き―――
「豆腐じゃんか、これ豆腐じゃん!! 噛まなくていいってか味ねぇよ!?」
「…………隠し味に鉄でも入ってんのかい……コレ……」
―――冒頭の台詞に繋がると言う訳である。
ちなみに『ウィムズ・ステーキ』の “ウィム” とは英語で『気まぐれ』の意味であり、アルゴ曰く―――「一種のアタリと三種の普通、二種のハズレがランダムに入れ替わるステーキなのサ」―――らしいとの事。
即ちこの二人、入って早々二種類の “ハズレ” をそれぞれ引き当ててしまった様だ。
運が良いのか悪いのか、分からない二人組である。
コレの真実をグザ達が知ることとなるのは……まぁ大分後なのだが。
「う〜ん……不味くは、ねぇけど……けどよぉ……」
「まあ、不味かぁないさね。ソレ “だけ” だけども」
幸いにして決して食えない訳では無い様だが、腹満たしの食事としてはこの上ない位最悪な選択だろう。
……暫くの間二人は無言でステーキを口に運び、堅過ぎるステーキをグザが漸く三分の二ほど食べ終えた所で、チヨメが話を切り出した。
「改めてだけどよ、さっきはアリガトなグザ! あんだけデッケぇ牛だとビビっちまって……本当ならレベルだって上げてっから、充分1人で出来んのに……」
「へぇ、幾つだい?」
「8だ! もうすぐで9行くな!」
キリト等ゲーマーだとレベルを明かすのは渋る所なのだが、グザもチヨメもゲーム初心者であり、且つチヨメは隠し事が苦手なのか、グザの問いに割とすんなり答えた。
観光目的で巻き込まれたのかと思いきや、そこそこ高めのレベル
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