十三節:更に出会うは黒髪の少女
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ざ喰らう筈もなく、身体を半身にしてのステップで容易く避けて見せた。
「ッラアアァッ!!」
そのままバッファローの背後より一歩近付くと前傾姿勢を取り、脚を黄色に光らせ “月” の様な弧を滑らかに描く。
体術スキル宙返り蹴り【弦月】でバッファローのHPが減るも―――――ガッツリ直撃したにも拘らず、一割いくかどうかという値ですぐさまストップした。
「オ〜イオイ……」
口を “へ” の字に曲げ、グザは小さく文句を洩らす。
何とか持ち直して二度目の突進をかわしながら、腰溜めに構えた拳に赤光を伴い弾丸みたく打ちだす【閃打】を。
続いてバッファローモンスターの角を態とギリギリで回避し、振り向き様に薄青き脚刀を瞬速にてぶつける【水月】を、それぞれ確りと叩き込む。
飛び散るヒットエフェクトにダメージエフェクト、刃物とは違う何処か爽快且つ豪快なサウンドエフェクト…………にも拘らず、HPの減り具合は五割にすら届かない。
「あ〜……鍛えんと役に立たねーわな、これじゃ」
グザは最早表情を直す事すら放棄し、苦笑いと呆れを混ぜた複雑な顔を形作っていた。
スキルの思考も終わった事だしこれ以上時間を掛ける必要も無かろうと、グザはもう一度突進を避けてからメニューウィンドウを開いて槍をオブジェクト化させ構える。
そこから色々疲れたらしく遊びも見せず、大した見せ場も作らずに、非常に無難な立ち回りでバッファローモンスターをポリゴンへと変えた。
「……役には……まぁ、立つんだろーがねぇ」
槍で肩を叩きながら、曰く何とも言えぬ微妙な表情で呟く。
それと同時にレベルが上がるまでは、今までに自分が培ったものを使った方が良さそうだとも、グザは感じていた。
ともあれ検証は終わったのだし、次に行うべきは主街区へ向かって一旦羽を休める事だろう。
周りに人がいないからか、何も誰も慮っていない大きな欠伸をかまし、槍を肩に担いでグザが歩きだす。
ゲーム内とはいえ―――否、ゲーム内だからこそ聊かマナーに欠ける行動ではあるが……刺青半裸な時点でエチケットもクソもないのはご察しの通りだ。
緊張感の欠片もない空気を漂わせ、POP率が上がったのか時折出現する牛型モンスターを無難に無難を掛け合わせた戦闘で乗り切り、地味にスキル値を上げながら街目指して脚を動かし続ける。
そんな何の変わり映えもない歩行風景が、二十分ほど続いた―――――
「……? 何じゃアリャ」
――――――その時だった。
グザの視界の、先の先。
豆粒のように見える何かが猛然と砂煙を上げている事に気が付き、緩んだ気を持ち直しつつ目を細めて遠くを見やる。
何かのイベ
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