十三節:更に出会うは黒髪の少女
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び上がっていた。
追加で溜息を吐いてウィンドウを消したグザは、ブルーベリー色のパイプを咥え直しキリトの方を見た。
「……って訳だ。後は頑張っとけよー、キリトの坊主」
「分かってるよ! ……絶対明日までにはクリアしてやるっ……!!」
グザからの有り難くない声援にキリトは少々ムキになった声で答える。
されどそれ以上互いに踏み込む事も無く……キリトは己の頬を高らかな音を上げ叩くと改めて岩割に専念し始め、グザは響き始めた思い音を背に受けながらも二度と振り返る事無く下山していく。
キリトからグザが見えなくなった一瞬だけ、断続的に轟いていた音が途絶え―――それ以降何の変化も無く、豪快なサウンドが再び鳴り始めていた。
「じゃっ……久しぶりに街へ行きますかい」
行きは其処までモンスターが出なかった事もあってか、グザは槍を敢えて構える事をせず、手を頭の後ろにやっていた。
少なからず笑顔の戻った顔で、山を登ったルートよりも舗装されている道を、半ば大股でのんべんだらりと歩いて行く。
途上で指を揃えて振りシステムウィンドウを開くと、【体術】なるエクストラスキルの内容を改めて確認。
「へぇ……鼠嬢ちゃんの言った通りなのかね、こりゃ」
内容は二つあり―――1つ目は素手攻撃にわずかなボーナスが掛けられる事。
スキルレベルを上げれば恩恵は徐々に増して行くようで、鍛え上げる価値はありそうだ。
2つ目は【ソードスキル】。
最初から幾つか出現しており―――拳で相手を突く【閃打】、回し蹴りで打つ【水月】、そしてサマーソルトキックを放つ【弦月】のそれぞれ三つが表示されていた。
グザはメニューをクリックしながら、それぞれのイメージとプレモーションを確認しつつ、歩みを止める事無く進んでいく。
「……ん?」
そんな彼の斜め前方、深く生い茂った藪の中から乱暴な音が立った。
数秒掛けて、牛型モンスターがのっそりと顔を出した。
グザにとっては牛型といえど見た事の無いタイプのモンスターだったが、やはりこの牛も例に漏れずアクティブ系モンスターMobの様で、蹄を鳴らし緩慢な動作に似合わない闘気を発している。
「ブルルルゥ……!!」
「お、ちょうどいいやね。実験台になってもらうわな」
そう言ってニヤァと決して綺麗には見えない笑顔を作り、此処でも敢えて槍をストレージからは出さず、素手で迎え撃とうとムエタイにも似た構えを取った。
数回地面を掻いていたバッファロー似の牛型モンスターは、鼻息を大きく吹き鳴らすと…………ガッ! と地面を強く蹴って突撃してくる。
直線的なその一撃を、攻略の最前線に身を置いている者がむざむ
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