十三節:更に出会うは黒髪の少女
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丸岩の頂点へ……豪快な踵落としが炸裂した。
「ふぅ〜……」
「……っ……」
派手なサウンドエフェクトとは正反対な静寂と、躍動とは真逆の硬直が場を支配する。
刹那、ピシリッ……ピシピシッ……と岩から断続的に聞こえ、絶え間なく次々弾けるような音が耳に届き、
「ほい終了……っと」
グザが宙返りから着地してパイプを咥え、煙を吐き出しニヤリと笑った直後―――――豪快な音を上げて、岩は脆くも木端と化した。
辺りには濛々と灰色の煙が舞い飛び、濃淡の差のある破片が撒き散らされた。
「ホホホ、完遂しおったか青年……この過酷な鍛錬を」
「……マジ、かよ……!?」
たった二日で岩割を終えたのもさる事ながら、あとどれ位で割れそうか予測し最後の一撃を確り決めたその判断力と観察眼に、キリトは三度驚かざるを得ない。
そんな彼とは対照的に、禿頭長髭の老人NPCはこの結果が満足なのかどこか嬉しそうだ。
グザは達成感に浸っている風もなく小さく笑い、パイプを吸いもう一度煙を吐き出すと、そんな何処と無く笑んでいる様な老人NPCへ近寄って行った。
「コレで修業は終わりさね。そんじゃ、お髭取ってくれねーかい? 御師匠さんや」
「言われずとも。お主は我が試練を、見事超えて見せたの剛の者なのだからのぉ」
言いながらにゴソゴソ懐から取り出したのはグザの武器………と、何だか “薄汚い” 布の様な物。
其れを握った腕が、クエスト開始の思い起こさせる音速を遥かに超えた速度で閃き、次の瞬間にはグザのおヒゲが綺麗さっぱり取れていた。
その一部所作を見ていたキリトは、ちゃんとヒゲが取れればどれだけの達成感を得られるのかと、大きな溜息を吐いている。
―――まぁ実際ぶっちゃけて言ってしまうと元から有る刺青に紛れて分かり辛かったので、其れを重々認知していたグザ本人的には感慨などまるでなく、
『何か臭い物が通り過ぎて、妙に嫌な感触を残しやがった』
と精々それぐらいにしか感じていなかったが……。
「お主は無事、我が秘儀足る『体術』を会得した。これからも鍛錬に励むが良い」
「うぃー……」
深く感情が込められて居る様な、老人師匠NPCの言葉。
……が、グザは汚ったねぇ布(※後の本人談)を使い顔を拭かれた所為で、明らかに不機嫌だという雰囲気で適当に答えていた。
尤も―――相手はNPCだからか対して追及もせずに、設定されているらしいセリフだけ言うと背を向けて元の位置へ戻っていく。
グザの目の前にクエストクリアを知らせる他、手に入れたスキルに経験値やコルが記されたウィンドウが出現し、視界の端にはログが更新された事を告げるメッセージが小さく浮か
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