十三節:更に出会うは黒髪の少女
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パターンを繰り返し、着実にHPを削っていく。
少女の筋力値の高さとグザのプレイヤースキルにより体格差をものともせず、一番プレイヤー達が持ち込むべきな彼等側に有利な展開を繰り広げて行く。
そして、彼等の一方的な攻防が七回目に差し掛かり…………
「おぉらあぁぁっ!!」
「モ゛――――――」
気合い一発、最後に放たれた少女の力強く雄々しい茜色の一刀で、巨大牛は見事に葬られて青い破片となり四散した。
そこから一瞬の間隙があり……討伐を湛えるファンファーレが鳴りだす。
「ふぃ〜……よっっっしゃ! 何とかブッ倒してやったぜっ!!」
目の前にモンスター討伐の証として、赫アイテムやコルに経験値の記されるウィンドウが出現し、少女は小躍りしそうなほど喜びだした。
「おぅ、お疲れさんだわな」
と……そこで労いの言葉を掛けてきたグザに改めて向き直り、グザのモノとはまるで違う、ニカッとした純心かつ快活な笑みを向けてくる。
心底嬉しくて仕方ないのだと隠そうともせず、寧ろ大っぴらにしている事で見ている方まで自然と笑顔になっていく様な、とても元気の溢れる笑顔だ。
「そうだった! アンタ、ありがとな!!」
もう一度、並びの良く白い歯を見せて笑う少女に、グザは色黒で刺青だらけの顔を向け―――――
「…………………………」
―――――何故か、本当に何故か感情を失った真顔と不気味なまでの無言で答え、すぐに口を開こうとしない。
嫌なモノなど何一つ存在しない事が、逆に何かしらの不快感を彼へ与えているだろうか。
が……少女が彼の顔を改めて確認する頃には、既に飄々とした何時もの笑みに戻っている。
第三者が見ていてもなお、先の者が勘違いが見間違いだったと、そう思ってしまうぐらいの早業だった。
「いやいや、困った時はお互いさんだろうに。こんな異常なゲームだからこそ余計にねぇ」
「お、いい事言うぜアンタ! 久しぶりに良い奴に出会った気分だ!」
益々上機嫌になる少女にグザは苦笑し、一応辺りを見回して危機に備える。
意外と上手いオリジナルのダンスを暫し踊っていた彼女だったが、何かを思いついた様にピンと指を立て立ち止まって、素早くグザへ顔を向けた。
「そうだ! アンタに例がしたいからついて来てくれよ! こう見えても金はあるし、余裕あっから全然奢ってやれるぜ!」
「へぇ……じゃあお願いしようかね」
「そうそう遠慮無し! それが一番だって!」
話は纏まった。
そう言いたげに大きく頷いて、少女は回れ右をして走りだそうとする。
「……ヤベ……そういや、アンタの名前は?
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