十三節:更に出会うは黒髪の少女
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単なるゲームであったならばアバターで誤魔化せるとしても、此処は現実の見た目を直に当てられてしまったSAO。
更に男女比が大きく偏っており、尚更に『守ってあげなくては!』という思いを強く抱く者も増えているのかもしれない。
加えて少女は御世辞にも背が高いとも大人っぽいとも言えず、ゲームが趣味な者の大部分に当てはまる様に、がっちり筋肉が付くぐらい本格的に格闘技をやっている者でなかった上…………少女の見た目がそこそこ美少女な所為で、第一印象でどういった人間かを決め付けられてしまい、結局パーティーに入れて貰えなかった様子。
相手が幾ら良心から言ったのだとしても、聊か強気で男っぽい部分のある彼女は率直に “侮辱” と取り、腹を立てているらしかった。
「くっそ〜、コレで五組全部で門前払いだ。あ〜如何すっかなぁ……普通に言ったって入れて貰えねぇだろうし、だからってオレの実力見せても自分達の方が〜とか云々言いやがるだろうし……こんちくしょおっ!!」
ポニーアップをもう一度上へ折りヘアピンで留めた少々複雑な髪形を持つ少女は、カラスの濡れ羽をも連想させる艶やかな黒髪を、台無しにしそうな程ガシガシと両手で掻いてもう一度大声で叫んだ。
黒髪に何処かにそぐわないツリ眼気味な山吹色の瞳が目を引く一方で、整った見た目に酷く合わないガサツな言葉遣いも興味を引いてしまう。
更には人目を気にせず叫んでしまうものだから、人通りが少ない通りとはいえ、かなり注目を集めてしまっている。
……オマケに皆気の弱そうなプレイヤーばかりで、咎める者など一人も居ないという有様だった。
「むぅ〜…………ん、腐ってても仕方ねえ! そういや第二層も解放されたとか言うし、攻略集団を目指して更なる武者修行に勤しむぜっ!!」
相変わらずの大声を上げつつグッ! と拳を掲げてそう宣言し、自身を鼓舞して意気揚々と走りだす。
そんな彼女に周りのプレイヤー達が向ける視線は呆れや戸惑い―――――ではなく意外にも『信じられない』とでも言いたげなものだった。
目すら見開いている者も居るので、まずこの場に居て彼女の言動を見聞きしていた、殆どの人間がそう思っているのは間違いないだろう。
何故そんな目を向けるのか―――それは言わずもがな、このSAOが『デスゲーム』であるからだ。
画面の中を覗き込んでキャラクターを動かすのではなく、自分そのままの視点でモンスターと戦わねばならないSAOは……度合いの大小こそあれど、原始的な恐怖を否応にも呼び起こさせてくる。
加えてHPが0になれば現実でも死んでしまうという、たった一度の失敗も許されない過酷な状況下だ。
安全を求めるのならば数人で固まって高レベルになるまで臆病な戦いを繰り
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