暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン45 鉄砲水と泡沫の英雄
[1/11]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
「ジム!ほい、これ。確かにデータは取ってきたよ」
「ワオ、グレート!ありがとう、後はこのデータを突き合わせれば……よし、少し待っていてくれ」

 ここはジムの私室。先ほどのクロノス先生と僕とのデスデュエルにより得ることができた怪電波のデータを、ジムに届けに来たのだ。何やらこの島の地図を広げてジムがああでもないこうでもないと試行錯誤しているうちに、この部屋に集まったメンバーを一通り眺めてみる。僕とジムの他にも十代、剣山、翔、ヨハン、明日香、夢想。言ってみればほぼいつものメンバーだ。あと万丈目やら三沢やらがいれば完璧なんだけど、それを望むのも無理な話だろう。
 そんなことを考えていると、ジムがようやく顔を上げた。

「……オーケイ皆、この地図を見てくれ。今回清明が取ってくれたデータのおかげで、ようやくはっきりと場所が特定できた。それはこのビルディング、なぜか名前の載っていないこの建物だ!」
「どれどれ?あれアニキ、この場所って確かSAL研究所じゃないッスか?」
「ああ、あのSALか。そういやあの時清明がデュエルしたのも、割とこの近くだったな。なあ?」
「懐かしいもんだねえ」

 僕ら3年組は昔のことを思い出してほっこりしていたが、それをぽかんとした顔で見つめるヨハンたちには説明が足りていないことに気づく。まあ僕だって、あれは実際この目で見ていなければわけがわからなかっただろう。

SAL(スーパーアニマルラーニング)……なにをとち狂ったのかその辺の動物に専用の機械をつけてデュエリストにしようっていう実験をしてた変な博士が昔居てね。そこから逃げ出したのが猿のSALだったんだよ」
「モンキーがデュエルを?」
「猿のSAL……そのまんまだドン」
「あの研究所かぁ……でもあそこ、SALが逃げてから研究中止になったんじゃなかったっけ?」

 今や廃墟同然になっていて、わざわざあそこに入るような物好きもいない、だとか。電気やら水道やらが生きているかどうかすら怪しい場所だけど、それだけにこれまで思いつきもしなかった。というかここでこうして名前を聞くまでSALとデュエルした僕もその存在自体すっかり忘れてたし。

「ともかく、この場所に行けば何かがあるはずだ。トゥモローのモーニング……そうだな、9時ごろに改めてここに集合しよう。今日のところはしっかりスリーピングし、英気を養ってから出かけるべきだ」
「おう!」

 ジムのかけた言葉に従い、そこで一度僕らも別れて各自の寮に戻ることになった。一刻も早くSAL研究所に突入したいという気持ちもあるにはあったけど、それ以上に先ほどのデスデュエルによる疲労が体にたまっているのが自分でもよくわかっていたため、あの提案は正直かなりありがたかった。今日一晩寝ておけば、ダークシグナーの身体能力の高さも
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ