ターン45 鉄砲水と泡沫の英雄
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だからといって手を抜くわけにはいかない。
「バトル、ネオスでワイルドマンに攻撃!僕が言うのは初めてだねこれ……ラス・オブ・ネオス!」
E・HERO ネオス 攻2500→E・HERO ワイルドマン 攻1500(破壊)
十代 LP1400→400
「ぐああっ!」
「うっしゃあ!さあ十代、かかってこい!」
ネオスを奪われたことがよほどショックだったのか、衝撃に吹き飛ばされて膝をついた姿勢のままうつむいていつまでも顔を上げない十代。10秒、20秒と経ってもまだそのままでいるその姿に、さすがに不穏なものを感じた。
「十代……?」
「………」
何も答えないままではあったが僕の声は聞こえたらしく、十代がゆっくりと顔を上げる。その目を覗き込んだ時、心臓を冷たい手でわしづかみにされたような衝撃が走った。前に一度死んだときも、ここまで驚きはしなかっただろう。
その目は普段の十代の目とはまるで違い、黒目どころか白目の部分まで全体的に黄色く染まり……そして何より、これまでに十代からは感じたこともないほどの怒り、憎しみ、悲しみといった負の感情がごちゃ混ぜになっていた。その視線に射られ、意識するより先に危険を察知した体が勝手に身構える。
「許さない……絶対に許さないぞ!俺の、タアァァーンッ!!」
「うわあああああっ!?」
「んー、むにゃ……どうしたんだよ清明、まだ日も昇ってないじゃないか……ふわぁ」
自分の悲鳴に、がばっと跳ね起きた。十代の半分眠ったような声が隣の部屋から聞こえ、周りを見渡すと僕の部屋のベッドの上。ふと気になって時計を見ると、まだ午前3時を少し過ぎたところだった。
「ゆ……め……?」
『随分うなされていたな、マスター』
「チャクチャルさん、だよね?それに、皆もデッキにいるし」
『む?』
「よかった……」
『はい?まあいい、私はまた寝るからな』
何も事情を知らないチャクチャルさんにとっては、僕が何を言っているのか訳が分からないだろう。まあこっちとしては精霊の皆がいなくて泣きそうだった、なんて恥ずかしい話をするつもりは一切ない。
それにしても、なんだったんだろう今の夢は。ただの夢にしては、妙にリアルだった気もする。マリン・ネオスだとかネオス・ナイトだとかの見たことがないモンスターが出てきたのはまあ、夢だからの一言で済ませられるとしても、あの景色の全てが、触ったカードの感触が、そして最後に見た十代のあの目が、いまだにくっきりと思い出せる。
「うー……さむっ」
あの時の恐ろしさをごまかすかのように声を出してみるが、体の芯から凍り付きそうなあの感覚は消えない。とりあえず、あの悪夢を見ている間に汗だくになってしまった寝間着を取り替えよう。そうすれば気
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