ターン45 鉄砲水と泡沫の英雄
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こで初めて、信じられないことに気が付いた。
「精霊が、いない……」
サッカーをはじめとする小型モンスターから青氷の白夜龍といった大型モンスターに至るまで、ただの1体分も精霊の力を感じない。こんなこと、精霊が見えるようになってからは初めてのことだ。
「お、おい清明?どうしたんだよいきなり」
「どうしたもこうしたも、皆がいなくなって……」
「何言ってるんだ?お前のデッキの精霊なら、すぐそこにたくさんいるじゃないか。なあ清明、俺達は友達だろ?頼むから教えてくれよ、一体なんでお前が俺らより先にここに来てたんだ?」
「そ、そんなこと言われても」
それはむしろこっちが聞きたいぐらいだ。それより、僕のカードの精霊がここにいる?そんな馬鹿な、僕には何も見えないし感じることもできないのに。十代、お前は一体何を言ってるってのさ?何も言えない僕を前にしばらく十代も黙ったままでいたけど、ややあってため息をついて立ち上がった。
「……もういいぜ、清明。お前がどうしても言いたくないなら、きっと何か理由があるんだろ?ならもう言葉は必要ない、その代わり、俺とデュエルだ!」
「十代!?」
「何驚いてるんだよ。デュエルをすれば、きっとわかりあえる。俺はそれを信じてるし、これからも信じたいんだ。だから、せめてお前の魂を俺に見せてくれ。それができるのがデュエル、そうだよな?」
そう問いかけてくる十代の顔は、なんだか妙に深刻で。僕が気を失ってる間に何があったのかはわからないけど、きっと十代にとって辛いことがあったんだろう。ここまで持論を強調してくるところからいって、誰かとデュエルをしたのに分かり合うことができなかった、とかだろうか。なんにせよ、あの十代がここまで参ってるだなんてただ事ではない。
だとしたら、僕にできる事をするのが親友としてのせめてもの務めだろう。精霊の加護は結局見つからないけれど、それでもやれる限りのことをやるしかない。
「……わかった、十代。デュエルと洒落込もう」
腕のデスベルトが、月の光をかすかに反射して鈍く輝く。そういえば、デスデュエルは結局どうなったんだろう。でもこのデュエルを提案してきたのも十代だし、その十代はさっきコブラに勝ったって言ってたんだ。勝ったならそう心配することもないだろう。
「「……デュエル!」」
先攻は十代、か。十代のデッキは手札消費が恐ろしく荒い融合デッキ、後攻より1枚手札が少ない先攻は大変だろう。
「最初から飛ばしていくぜ!魔法カード、コンバート・コンタクト発動!このカードは俺のフィールドにモンスターが存在しない時、手札とデッキからそれぞれNを1体ずつ墓地へ送ることでカードを2枚ドローする。手札のフレア・スカラベと、デッキのアクア・ドルフィンを墓地へ送るぜ。そしてク
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